詳細情報
沖縄県および鹿児島県の奄美地方は、琉球諸島とよばれます。これらの地域には、15世紀から19世紀にかけて独立した王国が存在しました。琉球王国とよばれたこの国は、当初は明との朝貢関係を築き、日本にも外交使節を派遣する独立した王国でしたが、1609年の薩摩藩による琉球侵攻以後は、薩摩藩を通じて江戸幕府の支配下にはいりました。しかし、その後も1879年の琉球処分により日本の沖縄県となるまで、外交・内政の両面において一定の独自性を保ち続けました。また、第2次世界大戦後、1972年までアメリカ合衆国の統治下にあるなど、東アジアの要衝として、特異な歴史を歩んできました。
本プロジェクトでは、琉球大学やハワイ大学が所蔵する琉球・沖縄関係の資料を翻刻します。関東大震災や戦禍の影響により、戦前の沖縄関係資料の多くが灰燼に帰しています※。現存する貴重な資料を通じて、琉球・沖縄の世界の一端を明らかにできればと願っています。
- [ハワイ大学所蔵阪巻・宝玲文庫概要](https://shimuchi.lib.u-ryukyu.ac.jp/collection/sakamaki/about)
- [琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ](https://shimuchi.lib.u-ryukyu.ac.jp)
なお、翻刻されたデータは 琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブでも公開し、画像検索にも利用させていただく予定です。ライセンスはみんなで翻刻によるCC-BYライセンスとなります。
※ 沖縄関係資料の被災については、真栄平房昭氏の以下の研究に詳しい。
- 真栄平房昭 . (1990). 琉球王国評定所文書に関する基礎的考察 ( 前近代における南西諸島と九州との関 係史的研究 ). 九州文化史研究所紀要 , (35), p185-203.
- 真栄平房昭 . (2017). 新自由主義時代の博物館と文化財 戦争と文化財 : 沖縄の視点から . 日本史研究 , (659), 51–62.
- 真栄平房昭 . (2018). 琉球処分と軍隊・歴代宝案のゆくえ : 「尚家文書」新出史料を手がかりとして .沖縄史料編集紀要 , (41), 1–22.