翻刻
【右丁】
無花果(むくはくは) いちゞく《割書:一熟の義なるへし一枝|の実一日にして一ッ熟す》 とうがき《割書:大|田》
ヘイゲボーム《割書:和|蘭》 映日紅(ゑいしつこう)《割書:典籍|便覧》 蜜果(みつくは)《割書:群芳|譜》
仙桃(せんとう)《割書:三才|図会》 青桃(せいとう)《割書:同|上》
寛永年中西南洋の種を得(ゑ)て長崎に栽(う)ゆと大和本草に
云(いへ)り樹高さ一二尺 許(はか)り葉(は)は構(かう)葉に似て大にして厚(あつ)く糙渋(さらつき)
背白色を帯(を)ふ葉を切(きれ)は白汁 出(いて)て乳汁の如(こと)し円茎節あり
枝幹の中心 空穴(くうけつ)あり夏月(なつ)旧枝(きうし)の節間(せつかん)に一果を生す乳(にう)
頭に似て大にして長さ二寸 許(はか)り下垂(けすい)す熟(しゆく)せすして落これ花
なり花と実と形相似たるゆへに古人無花果とす秋に至(いた)りて
【左丁】
葉の間ことに一果を結(むす)ふ大さ一寸余 頭(かしら)円(まる)くして平(たいら)に尾 尖(とか)れり
一日に一果(いつくは)熟(しゆく)す故(ゆへ)に名(なつ)く熟(しゆく)すれは紅紫色自ら烈(さけ)て内に肉
あり鶏冠花(けいくはんくは)に似(に)たり味(あしは)ひ甘(あま)しこれを食(くらへ)はよく痔疾(ししつ)を療(れう)
す又 葉(は)を末(まつ)とし服(ふく)するも良(よ)し
一種 しろいちゝく《割書:薩|州》
葉は鶏桑葉(けいさうやう)《割書:あさみ|くは》に似て大にして厚(あつ)く又いちゝくに似て刻欠(こくけつ)深(ふか)
く実の形無花果に似て熟(しゆく)して淡緑白色味ひ甘し