翻刻
【見開き 挿図】
【右丁】
庵(あん)䕡(りよ)
いぬよもき
奥州(おうしう)石山(いしやま)播(はん)州 江(こう)州の山中(さんちう)に自生(しせい)
ありふきよもきと云(いふ)信州 水内郡(みなうつこほり)戸(と)
隠山(かくしやま)下野(しもつけ)足尾(あしを)にありと廻村(くわんそん)雜記(さつき)
に見(もへ)たり春(はる)宿根(ふるね)より生(せう)す茎(くき)は艾の
如(こと)く高(たか)さ二尺許 葉(は)は菊に似て厚(あつ)く
【右下に続く】
ゆへにきくよも
きと云 穂(ほ)は艾(よもき)
に似(に)て小黄花(せうわうくは)
【左下に続く】
を開(ひら)く實(み)も
艾(よもき)と同(おな)し
【左丁】
蓍(し) のこきりきり
人家(しんか)に移(うつ)し栽(うゆ)宿根(ふるね)より数十(すしう)茎(けい)を
生(せう)す葉(は)は細長(さいてう)にして周(めく)り鋸(のこきり)の歯の如し
高(たか)さ三四尺 許(はかり)夏(なつ)月 梢(こすへ)に五六辨の小花
集(あつま)り開く淡紅色(うすあかいろ)にして黄心(わうしん)なり実(み)は艾(よもき)
の実に似(に)たり