翻刻
漢(かんの)文(ふん)‾帝(てい) 親(みつから)嘗(?)【こころむヵ】_二湯(たう)‾薬(やく)_一
漢(かん)の文(ぶん)‾帝(てい)。諱(いみな)は恒(かう)。高祖(かうそ)の中(ちう)‾子(し)。御(おん)_母(はゝ)を薄(はく)大夫人(たいふじん)といふ。はじめ
代(だい)-王(わう)に封(ほう)ぜられ給(たま)ふ。恵(けい)‾帝(てい)崩(ほう)じて子(こ)なく。呂(りよ)‾后(こう)崩(はう)じて後(のち)
諸(しよ)大(たい)‾臣(しん)むかへて。天(てん)‾子(し)とあふぎ奉(たてまつ)れり。御母(おんはゝ)につかへて御孝(ごかう)‾
行(かう)にまし〳〵ける。御母(おんはゝ)かりそめの御病(おんやまひ)に臥(ふし)給(たま)ひ。已(すて)に三年(さんねん)
に及(およ)べり。帝(みかど)其(その)_間(あひだ)。衣冠(いくわん)を解(とき)給(たま)はず。昼(ちう)‾夜(や)御(おん)目まじろかず。
睡(ねふり)をわすれて。御看(ごかん)‾病(びやう)まし〳〵。御(おん)_薬(くすり)。又(また)は朝(あさ)_夕(ゆふ)の供御(くご)をも。
御(おん)みつから嘗(なめ)こゝろみ給(たま)はざれば。すゝめ奉(たてまつ)らせ給はざりけり。
天子(てんし)のたふとき御身(おんみ)にて。かく御看(ごかん)‾病(びやう)せさせ給(たま)ふを以(もつ)て。
其(その)平(へい)‾日(じつ)の御孝行(こかうかう)をおもふべし。さればかくありがたき御(ご)
孝徳(かうとく)を内(うち)にをさめ。外(ほか)仁(じん)‾政(せい)を天下(てんか)に施(ほどこ)し給(たま)ひ。めでたき御(み)
世をしろしめす事(こと)。いにしへの尭(げう)舜(しゆん)と等(ひとし)く称(しよう)し奉(たてまつ)りけり