翻刻
虞(ぐ)舜(しゆん) 孝感(かうかん)動(うごかす)_レ 天(てんを)
有(いう)‾虞(ぐ)‾氏(し)。帝(てい)舜(しゆん)。姓(せい)は姚(えう)。名(な)は重華(ちようくわ)。黄(くわう)‾帝(てい)の後(のち)なり。父(ちゝ)を瞽(こ)‾瞍(さう)といふ。
幼(いとけなう)して母(はゝ)を喪(うしな)ひ給ひ。父(ちゝ)後(のちの)_母(はゝ)を娶(めとり)て。弟(おとうと)象(しやう)を生(う)む。父(ちゝ)頑(かたくな)に。母(はゝ)嚚(ひすかし)く。
象(しよう)傲(おご)れり。父(ちゝ)後(のちの)_母(はゝ)と象(しよう)とに迷(まよ)ひて。しば〳〵舜(しゆん)を殺(ころ)さんとす。しかれ
どもあやふきをのがれて。あつく孝行(かう〳〵)を尽(つく)し給へり。いまだ童(わらは)にてお
はせし時(とき)。歴山(れきさん)といふ所(ところ)に。農(のう)‾作(さく)し給へるに。人(ひと)_皆(みな)畔(くろ)とて。己(おのれ)が田(た)の界(さかひ)を
譲(ゆづり)て争(あらそ)はず。或(あるひ)は大(だい)‾象(ざう)来(きた)りて。鼻(はな)を以(もつ)て田(た)をかへし。諸(しよ)鳥(てう)くだりて。
草(くさ)をくひきり。其(その)たすけをなし奉(たてまつ)るなど。孝(かう)‾徳(とく)の感(かん)‾応(おう)甚(はなは)だ多(おほ)し。時(とき)
に帝(てい)尭(げう)。舜(しゆん)の聖徳(せいとく)をきこしめされ。御(おん)_子(こ)八‾人ましませども。万民(ばんみん)
の為(ため)に。御位(おんくらゐ)をゆづりて。娥(が)‾皇(くわう)女(ぢよ)‾英(えい)といふ御(おん)むすめを后妃(こうひ)に立(たて)給(たま)ひ
けり。但(たゞ)し御歳(おんとし)二十九にて登(あげ)_庸(もちひ)られ。六‾十‾二にて御(おん)_位(くらゐ)に即(つき)。在(ざい)‾位(ゐ)
四‾十八‾年(ねん)。御(おん)_寿(ことぶき)百十/歳(さい)にて崩(ほう)じ給へり