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コレクション: STAGE5

風俗畫報臨時増刊第百九十七号 明治三十二年諸國災害圖會 - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百九十七号 明治三十二年諸國災害圖會 - ページ 13

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便利を図(はか)らんとするも。会社 定款(ていくわん)には。受取人及び差配人の證明(しよめい) を要(えう)するの定めありて。其肝腎の差配人さへ類焼(るゐせう)に罹りたる者 多く。然れば会社に於て擅に支払をなす時は。横浜に在住せざ る重役(ぢうやく)若くは株主(かぶぬし)に於て。頗(すこぶ)る八ケ敷反対あるべしとて。此一 事に就ては。各会社とも少なからず苦心(くしん)したる所なるが。漸(やうや)く 横浜警察本部に打合せ。全部焼失したる町名に就て。一々同部 の證明(しようめい)を乞ひ半焼(はんせう)又は倉庫存在等の場所は会社員出張して。実(じつ) 地調査(ちてうさ)をなし。然る後臨機(のちりんき)の所分をなしたりと。      ●警察雑事 ▲警察署焼跡の受付 類焼せし伊勢佐木町警察署は。仮りに警 察部楼上の県会議事堂(けんくわいぎじだう)に移(うつ)りしが。更に十四日より焼跡へ葦簀(よしづ) 張(ばり)を為し。同所に巡査七八名 詰切(つめき)りて。諸事の受付をなし居れ り。 ▲警察署は宛然勸工場 持荷(もちに)の不分明(ふゞんめい)なる諸道具蒲団衣類(しよどうぐふとんいるゐ)其他 の雑品は。各警察署巡査派出所に散乱(さんらん)し居りて。之を人民が 尋(たづ)ね来(きた)るも容易(ようゐ)ならざるより。之を伊勢佐木町 警察署焼跡(けいさつしよやけあと)に設 けたる仮事務所(かりじむしよ)に一 纒(まと)めと為し。宛然勸工場(さながらくわんこうば)の如く陳列(ちんれつ)なせし にぞ尋ね来る者引きも切らざりしと。 ▲巡査の助勤 加賀町、山手、寿三警察署及戸部分署の巡査過(じゆんさくわ) 半(はん)は。大火の当時より伊勢佐木町警察署の助勤を為したりと。 ▲仮事務所に電話を架す 伊勢佐木署は。焼失後警察部の二階 に於て事務を扱(あつか)ふ事となり同署焼跡(どうしよやけあと)へ警官(けいくわん)をして出張せし め人民をして万事に便ならしめつゝある事なるが。本部と出張 所の間(あひだ)を一々往復するは此上もなく不便なることなるを以て。今 回両所間に電話(でんわ)を架設(かせつ)することとなりたり。 ▲巡査の野宿 伊勢佐木町警察署の跡(あと)へ出張(しゆつてう)し事務を扱(あつか)ひ居 る旨(むね)は前項に記(しる)せし処なるが。十五日の夜 詰切(つめきり)の巡査七八名は 【右ページ下段】 同夜の暴風雨にて一時凌ぎに造りし仮小屋の事とて屋根は飛び 周囲(しうゐ)は破(やぶ)れ煉瓦(れんぐわ)飛び来る等の為め一同野宿せし有様(ありさま)なりと。 ▲同しく負傷 伊勢佐木町警察署焼失の際同署詰の巡査樋井鉄 之助は。公用書類(こうようしよるゐ)を船(ふね)に移(うつ)して。他に運(はこ)ばんとしたるが。生(あや) 憎(にく)其船に飛火(とびひ)したるより。是非なく書類(しよるゐ)を抱(かゝ)へて。河中に飛び 入りしも。游泳術(いうえいじゆつ)に達せずあはや。溺死(できし)せんとせしも辛(から)うじて 岸に這い上(あが)りし為め。数ケ所の負傷を受け。又中村泰助江北村信 次の両氏も。消防の際微傷(さいびしやう)を受たりと云ふ。      ●赤十字社支部の尽力 同社神奈川県支部に於ては。鎮火(ちんくわ)の後即ち十三日。未明より準(じゆん) 備医長(びいちやう)、(宮島氏)準備医 (和田、小林両氏)等をして。絶えす各 避難所を巡廻せしめ。又特に看護婦生徒中より選抜(せんばつ)したるもの を各所に配置して。十分の手当を為さしむるなど大に力を尽し たり。      ●火中に紙入を拾ふ 賑町一丁目延焼の際同町里見亭太郎方に。二人の男。烟に包ま れて苦み居れり。早く救ひ出せと呼ぶ者あり。折柄附近を警戒 し居たる巡査は。それと聞くより。屋内に踏入らんとせしも。 何分火勢の猛烈なるのみか。果して人の居るや否(いな)や。をも確め ざる内軽忽のことして過ありては。取返付かすと。尚ほ事実を 確めんとする折(をり)しも。同く此事を聞付けたる福島町一番地野 方清水萬次郎 (二十五)と云へる者。人の止めるをも聞かす。 猛火焔々(まうくわえん〳〵)たる中に飛び入り。室内遍ねく捜がしたれども。如何 にしけん。人影(ひとかげ)だも認めざりしかば。其儘走り出でんとせしに 何か足に触れたる物あるより。拾ひ取り見れば一の蟇口なるよ り。無事に表に飛出し。斯と巡査に報じたるが。後に至りて人 の室内に居たりとは風説なりし事知れ。同時に同家の者を警察 【左ページ】 横浜伊勢佐木町警察署焼跡の図 同上焼失後穴蔵より物品を取出すの図