翻刻
【右丁】
馬蘄(はきん) きよまさにんしん《割書:加藤清正朝鮮にて人参の種と偽せ|られて持かへり今世に伝ふ故(ゆへ)に名つく》
せりにんじん セルデレイ《割書:荷|蘭》
釈名(しやくめう)に時珍(しちん)俗(そくに)《振り仮名:称_二野茴香_一|やういけうとせうす》といへり即(すなは)ち救荒本草(きうくはうほんさう)の野茴香(やういきよう)なり秋
月 実(み)を下(くた)して生(せう)す葉(は)は芎藭(きう〳〵)に似(に)て深緑色(しんりよくしよく)光沢(つや)ありて茎(くき)に
条理(すし)あり夏月(なつ)薹(たい)を抽(ぬきんし)て二三尺 幹(みき)の中(なか)空(うつろ)にして枝(ゑた)を分(わかつ)て花あり
水芹(すいきん)に似(に)て白色 後(のち)扁(ひらた)き実を結(むす)ふ集解(しつかい)の説(せつ)は皆(みな)花白し救(きう)
荒本草(くはうほんさう)の説(せつ)は黄花とあり蘇恭(そけう)の説(せつ)に《振り仮名:似_二鬼針恭菜等_一|きしんけうさいとうににて》嫩時(わかきとき)
《振り仮名:可_レ食|くろふへし》花青白色 子(こ)黄黒色(わうこくしよく)《振り仮名:似_二防風子_一|はうふうしににたり》《振り仮名:調_二食味_一|しよくみをてうするに》《振り仮名:用_レ之|これをもちゆ》香(かう)《振り仮名:似_二橘皮_一|きつひににて》
而《振り仮名:無_二苦味_一|にかみなし》といふに合(かつ)す荷蘭人(をらんたしん)菜(さい)となし常(つね)に生(なま)にて食(くろ)ふ此根(このね)
《振り仮名:■種|いようしゆ》【注】痛(いたみ)を止(や)むるの功(こう)あり
【左丁】
一種 をらんだぜり ヒイネルセリー《割書:荷|蘭》
蘭種(らんしゆ)を伝(つたふ)るものなり秋月 実(み)を下(くた)して生(せう)す脚葉(したは)は水芹(すいきん)芎藭(きう〳〵)の葉(は)
の如(こと)く梢(こすへ)の葉(は)は細(ほそ)くして小茴香(せうういけう)の如(こと)くなり花実きよまさにんしん
と同く香味(かうみ)も似(に)たり花実(はなみ)あれは根(ね)枯(か)る又 芸州(けいしう)広嶋(ひろしま)にて銀(きん)
柴胡(さいこ)と称(せう)するものあり形状(かたち)相似(あいに)て根(ね)はきよまさにんしんの如(こと)く
にして短(みしか)し恐(おそら)くは同種なる歟
【注 ■は「疒+ツ+邑」・「癰」ヵ。「癰腫」ヵ。「癰種」も情報有。国立公文書館デジタルアーカイブは「疒+ツ+Ⅼ+巴」(『本草図譜巻之47・48』 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676185 コマ20)。】
【六行十一字目「芎」は別の字の上から書いている】
【十行七字目「子」のルビ「こ」は「み」の上から書いているように見える】
【十七行下から三字目「藭」のルビ「〳〵」は下半分が別の字を消したように見える】