翻刻
寐仏
尊像
御影
寐仏略縁起
当寺伝来の霊宝世にたくひなき寝仏と申奉る其由来を
尋るにいまた誰人の御作とゆう事をしらす然るに当寺第二
順証法師人皇九十七代光明院御宇応永廿年庚寅十二月廿二日
夜の夢にあやしくも光明かゝやきたる御姿にて勿体なくも順証
の枕もとにあらわれ給ひわれは加州能美郡小松の郷麦口村道場
孫右衛門にてすめる者也然れ共此地有縁の吾なれは早く当寺に
うつすへしと七夜の間示現を蒙りけれは順証は歓喜の泪に
むせひ給へてあくるを待兼加州へはこびけるが不思議なるかな二日市
茶屋に休み居る所へ木仏を背笈たる者にあいことの様子を尋るに私は
加州のみ郡小松の郷麦口村道場孫右衛門と申者此度能登の国七尾
浄泉坊順証法師へ此霊仏を相渡すへしと有けれは順証なみたにむせひ
一首の哥を詠して曰
たのみある仏の恵み深けれは我をまたすにきます嬉しさ
と詠しけれは孫右衛門とりあへず
あなうれしかゝるゆかりのあらなくは己か心もたゝしからまし
互にかんじ奉り夫より此仏を御共いたし帰けり久しく安置し奉るに
其後はからすも類焼にあひ堂宇を残らす一時の煙となりぬるに
ふしきなるかな此霊仏火中より出て給ひ境内の椎の一の枝に止り
たまふこそ奇瑞の現益今におゐてさま〳〵にして一にあらす故に
一念無【无】量の罪をのつして現世無【无】量摂取不捨の御誓ひを
仰くへし信すへしと■■【云々ヵ】
能登七尾金屋山浄泉坊