翻刻
【右丁】
藤黄(とうわう) しわう 《割書:雌黄(しわう)は石なり|是と異なり》
和産(わさん)なし林娜斯(りんなうす)に図説(つせつ)ありカムボチヤキユタボームと云 此樹(このき)喬木(きやうぼく)にして一
二丈葉 厚(あつ)く対生(たいせい)し花 四弁(よへら)黄色(きいろ)白蕊(しろきすい)あり実(み)円(まる)くして中(なか)に隔(へたて)ありて数仁(すにん)あ
り熟(しゆく)すれは黄色(きいろ)味(あしはひ)酸(す)く食(くろ)ふへし此類(このるい)二種あり葉(は)円(まる)く実(み)味(あしは)ひ甘(あま)きものあり
此者(このもの)真臘記(しんろうき)を引(ひい)て国(くにゝ)有画黄(くはわうあり)乃(すなはち)樹脂(しゆしを)番人(はんじん)《振り仮名:以_レ刀|とうをもつて》《振り仮名:斫_二樹枝_一|しゆしをきる》滴下(したゝりくたる)次年(しねん)収(これを)
《振り仮名:_レ之|おさむ》といふ是なり又一種 物印忙(うへいんまん)に図(づ)あり形(かたち)覇王樹(はわうしゆ)《割書:さほ|てん》に似(に)て細長く周りに
疣(いほ)の如(こと)き葉あり又 竜骨木(りうこつほく)《割書:きりん|かく》に似(に)て円(まる)く蔓生(まんせい)なり共(とも)に広東新語(かんとうしんこ)の
黄藤(わうとう)なり彼国(かのくに)の人 此汁(このしる)を採(とり)て藤黄(とうわう)を製(せい)す舶来(はくらい)の中(なか)にて弁天檨(へんてんて)と
称(せう)する物(もの)上品なり禹家(くはか)の用(やう)となす
【左丁】
【版心の中央部】
藤黄
【五行下から三字目「数」に上書きの形跡有】
【七行十六~十七字目「番人」のルビ「じ」の濁点は薄く、「し」にも見える(他の箇所に字を消したものが有る)】