翻刻
【右丁】
沢瀉(たくしや) なまい《割書:本草|和名》 なゝと《割書:新校|正》 からをもたが【注①】
さしおもだか 沢芝(たくし)《割書:正|誤》 《振り仮名:水■菜|すいたうさい》【注②】《割書:救荒|本草》
奥州の水沢中(すいたくちう)に生(せう)す葉(は)は車前(しやせん)《割書:おほ|はこ》に似(に)て円(まる)く茎(くき)長く横(よこ)紋(もん)あり秋(あき)一茎(いつけい)
を抽(ぬきんし)て枝(ゑた)の末(すへ)尽(こと〳〵)く三 枝(し)をなす花(はな)白色(はくしよく)三弁(みへら)形(かたち)野茨菰(やしこ)《割書:おも|たか》に似(に)て極(きはめ)て
小なり実(み)は蜀葵(しよくき)《割書:はな|あふひ》に似(に)て小し葉(は)の味(あしは)ひ淡苦(うすにか)く根(ね)は別に塊(かたまり)を生する
にあらす根株(ねかふ)を用(もち)ゆ毛(け)多(おほ)く味(あしは)ひ鹹(しほはゆ)し仙台(せんたい)より出(いつ)る物(もの)上品なり又 唐(から)
種(たね)を植(うへ)て生(せう)することあり形状(かたち)此(これ)と同し
一種 ひらをもだか あぎなし《割書:おもたかに似(に)てあぐ|なしゆへに名(な)づく》
処々 水沢(すいたく)に生(せう)す形状(かたち)さじおもだかに似(に)て狭(せは)く又 紫萼(しかく)《割書:ぎほ|うし》に似(に)て厚(あつく)
【左丁】
狭(せは)く花実根(はなみね)形(かたち)同しこれ本草原始(ほんさうけんし)の水沢瀉(すいたくしや)なり
一種 まるばをもだか
池沢に稀(まれ)に生(せう)す葉(は)は浮薔(ふしやう)《割書:みつ|あふひ》に似(に)て硬(かた)く光沢(つや)あり又 薯蕷(しよよ)《割書:やまの|いも》に似(に)て
深緑色(こきみとりいろ)花(はな)は沢瀉(たくしや)と同(おな)し
一種
武州 落合辺(おちあいへん)の流水中にあり葉(は)叢生(さうせい)し灯心草(とうしんさう)の如(こと)くにて短(みしか)く二三寸 軟(やはらか)
なり根株(ねかふ)塊(かたまり)あり
【版心の中央部】
ひらおもたか
【注① 「たが」は「だか」の誤ヵ】
【注② ■は「艹+呇」。「䓠」ヵ】