翻刻
も又すくなし周伯子曰地震之常成物ハ多ハ暗雨の
替り目之際ニ有て是を験るに震声(フルウコエ)雷之遠く地中
ゟ起かずらき物は其音大成といへとも地表之動く事却て
絶しこれ状陽之地中発(ハツ)し盡(ツク)す事能(アタワズ)ぞ地中ニ止(トゞマリ)り水
気を蒸雲をなさん欲する成此故ニ地震の音輷々(コウ〳〵)とし
て雷如き物ハ雨成あるひハ変じて風ニ成又紛然として
大ニ地震する物ハ震キ直ニ地表へ達して猛(タケ)しこれ
伏陽(フクヤウ)発(ハツ)し竭末(ツスヘ)地中を蒸べきの気絶て雲を発すの
縁なりゆへニ地震強(ツヨク)ク震ハ晴(ハ)成と此趣千古来発之
確論也近年文政十三年寅七月二日京師大地震
ありて人屋多々損ず其後大小之地震ありて一昼(ヒル)夜ニ
五六度あるひハ十度ニおよぶも有之凡其年中翌春へ
掛て地震ひだり諸人之恐怖大方ならず誠ニ未曾有
珍事成是等ハ地震中
之変なれハ理をもつて推量べからず凡天地の間の事
一概ニ論ずるハ桂々膠する之諺(コトワザ)ニひとし世に地震之図とて
鯰魚之背上ニ日本の国を負セ鯰之頭動けバ