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コレクション: 地誌・郷土資料

兎園小説 - 翻刻

兎園小説 - ページ 120

ページ: 120

翻刻

乙酉冬十一月朔   萩生䕶?園記   うつろ舟の蛮女 享和三年癸亥【1803年】の春二月廿二日の午の時はかりに当時寄合 席小笠原越中守《割書:高四|千石》知行所常陸国はらやどりと云 浜にて沖のかたに舟のこときもの遥に見えしかは浦人等 小船あまた漕出しつゝ遂に浜辺に引つけてよく見るに 其舟のかたち譬は香 盒(ハコ)のことくにしてまろく長 ̄サ三間 あまり上は硝子障子にして《振り仮名:チヤン|松脂》をもて塗つめ底は鉄 の板かねを段々筋のことくに張りたり海巌にあたるとも打 砕かれさる為なるへし上より内の透徹りて隠れなきを みな立よりて見ける其かたち異様なるひとりの婦人そゐたりける