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翻刻
乙酉冬十一月朔 萩生䕶?園記
うつろ舟の蛮女
享和三年癸亥【1803年】の春二月廿二日の午の時はかりに当時寄合
席小笠原越中守《割書:高四|千石》知行所常陸国はらやどりと云
浜にて沖のかたに舟のこときもの遥に見えしかは浦人等
小船あまた漕出しつゝ遂に浜辺に引つけてよく見るに
其舟のかたち譬は香 盒(ハコ)のことくにしてまろく長 ̄サ三間
あまり上は硝子障子にして《振り仮名:チヤン|松脂》をもて塗つめ底は鉄
の板かねを段々筋のことくに張りたり海巌にあたるとも打
砕かれさる為なるへし上より内の透徹りて隠れなきを
みな立よりて見ける其かたち異様なるひとりの婦人そゐたりける