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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之9 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之9 - ページ 28

ページ: 28

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【右丁】  毘沙門天吉祥天(ひしやもんてんきちしやうてん)社《割書:昔(むかし)は各(おの〳〵)別社(へつしや)にてありしを後(のち)弁天(へんてん)の相殿(あひてん)に合祭(かふさい)すと|いふ福満童子(ふくまんとうし)は毘沙門天(ひしやもんてん)の化身(けしん)吉祥天(きちしやうてん)は縁起(えんき)に出(いつ)る》  《割書:所(ところ)の童女(とうによ)をあかめ祭(まつ)る所(ところ)なりといへり》  深砂大王(しんしやたいわう)社《割書:大門並木(たいもんなみき)に相対(あひたい)す縁起曰(えんきにいはく)天平(てんへい)五年癸酉 満功(まんかう)上人 此地(このち)に当社(たうしや)を|営(いとな)みて深大(しんたい)の二 字(し)を採(とり)て寺号(しかう)とし一宇(いちう)を草創(さう〳〵)せらるゝと》  《割書:いふ 東照大権現宮(とうしやうたいこんけんくう)及(およ)ひ八幡(はちまん)|八劔権現(やつるきこんけん)等(とう)を相殿(あひてん)とす》深砂大王影向池(しんしやたいわうえうかういけ)《割書:社(やしろ)の後(うしろ)にあり往古(そのかみ)深砂(しんしや)|大王(たいわう)影向(えうかう)ありし旧跡(きうせき)と》  《割書:云傳(いひつた)へて池中(ちちやう)一ッの霊石(れいせき)あり》  劔立石(けんたちいし)《割書:同(おな)し池(いけ)のもとにあり往古(そのかみ)恵亮和尚(ゑりやうくわしやう)当国(たうこく)に勝地(しようち)を求(もと)め給はんとして|当国(たうこく)の国分寺(こくふんし)に至(いた)り不動(ふとう)の利釼(りけん)を虚空(こくう)に投(なけ)給ひしに其釼(そのつるき)此(この)石(せき)》  《割書:上(しやう)に立(たち)しとなりしかありしに|より此号(このかう)ありといひ傳(つた)ふ》福満童子(ふくまんとうし)祠《割書:深砂大王(しんしやたいわう)の祠前(しせん)|右(みき)の方(かた)にあり》仁王塚(にわうつか)《割書:同所(とうしよ)|社前(しやせん)》  《割書:の道(みち)を一丁 斗(はか)り西(にし)へ登(のほ)る坂(さか)を塔坂(たふさか)とよへり往古(いにしへ)塔(たふ)なとありしならん歟(か)其辺(そのへん)を|二王塚(にわうつか)と字(あさな)す相傳(あひつた)ふ昔(むかし)何某(なにかし)の一子(いつし)当寺(たうし)二王門(にわうもん)の辺(へん)に遊(あそ)ひてありしか忽(たちまち)に|姿(すかた)を見失(みうしな)ふ人々 驚(おとろ)き一山(いつさん)大(おほい)に騒動(さうとう)すしかるに当寺(たうし)二王門(にわうもん)の二王尊(にわうそん)の唇(くちひる)に|其児(そのちこ)の常(つね)に着(ちやく)する所(ところ)の衣服(いふく)残(のこ)りとゝまりて児(ちこ)を吞(のみ)たるに似(に)たり依(よつ)て里民(りみん)此(この)二(に)|王(わう)の像(さう)をこほちて門(もん)を破却(はきやく)し土中(とちゆう)に埋(うつ)めたりしより二王塚(にわうつか)の号(かう)ありと|いひ傳(つた)ふ》  縁起曰(えんきにいはく) 聖武天皇(しやうむてんわう)の御宇(きよう)武蔵国(むさしのくに)多磨郡(たまこほり)柏野村(かしはのむら)に猟師(れうし)あり  《割書:柏野村(かしはのむら)今(いま)佐(さ)|須村(すむら)といふ》名(な)を右近(うこん)といふ年頃(としころ)山(やま)に入(いり)水(みつ)を臨(のそ)むて殺生(せつしやう)を業(なりはひ)とす  ある時(とき)やむことなき女(をんな)来(きた)りて妻(つま)となる名(な)を虎(とら)といへり此妻(このつま)  常(つね)に夫(をつと)をいましめて殺生(せつしやう)をとゝむ右近(うこん)は妻(つま)のいふに随(したか)ひ竟(つひ)に 【枠外】 三ノ百五十九 【左丁】  狩漁(すなとり)を止(とゝ)む其後(そのゝち)一人の娘(むすめ)をまうけいつきかしつく事(こと)大(おほ)かたならす  早(はや)く生長(せいちやう)なれり然(しかる)に福満(ふくまん)と唱(とな)ふる童子(とうし)ありて此娘(このむすめ)に逢初(あひそめ)に  けれは父母(ふほ)大(おほい)に怒(いかり)かはりり賤(いや)しき人(ひと)にあはせん事(こと)本意(ほい)ならす  とて二人(ふたり)の中(なか)をさけ娘(むすめ)をは此里(このさと)の池(いけ)の中島(なかしま)に家(いへ)を営(いとな)みかしこに  居(を)らしむ福満(ふくまん)は日毎(ひこと)に岸(きし)に至(いたり)て是(これ)を歎(なけ)くといへともかひなし昔(むかし)  もろこしの玄奘三蔵(けんしやうさんさう)渡天(とてん)の時(とき)流砂川(りうさかは)に至(いた)りて仏(ほとけ)を念(ねん)せしかは  深砂王(しんしやわう)現(あらは)れ給ひ川(かは)を渉(わた)し給ひし事(こと)を思(おも)ひて一心(いつしん)に念(ねん)しけれは  一の霊亀(れいき)浮(うか)み出(いて)ぬ福満(ふくまん)其甲(そのかう)に乗(のり)て島(しま)に至(いた)り娘(むすめ)にあふ事(こと)を  得(え)たり父母(ふほ)後(のち)に此事(このこと)を聞(きゝ)て神明(しんめい)の冥助(みやうちよ)ある事(こと)を知(し)り随喜(すゐき)  して娘(むすめ)を福満(ふくまん)に妻(め)あはせけれは竟(つひ)に一人の男子(なんし)をまうく父母(ふほ)の  願(ねかひ)によりて此児(このちこ)出家(しゆつけ)し満功(まんかう)上人といふ其後(そのゝち)もろこしに渡(わた)り大乗(たいしやう)  法相(ほつさう)の旨(むね)を傳(つた)へて帰朝(きちやう)し天平(てんへい)五年癸酉 父(ちゝ)の本誓(ほんせい)により  深砂大王(しんしやたいわう)の社(やしろ)を建立(こんりふ)し当寺(たうし)を創(さう)す其時(そのとき)神霊(しんれい)水中(すゐちゆう)の岩(かん)