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コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 5 江戸名所図会

江戸名所図会 20巻 巻之9 - 翻刻

江戸名所図会 20巻 巻之9 - ページ 43

ページ: 43

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【右丁】  終(つひ)に其水(そのみつ)の原(もと)に至(いた)る事(こと)を得(え)す故(ゆゑ)に此名(このな)ありといふそよろしかるへき  《割書:夫木|  東路にありといふなる逃水のにけかくれても世を過すかな  俊頼》  《割書:同|  むさし野の草葉かくれに行水の逃かくれてもありとこそきけ よみ人|                               しらす》  性霊集詠陽燄喩 遅々春日風光動陽燄紛々嚝野   飛舉體空々無所有狂児迷渇遂㤀帰遠而似水近   無物走馬流川何処依下略   運敝註智論曰 飢渇悶極見熱気如野馬謂之為   水疾走趣之転近転滅走馬流川皆謂陽炎状貌也  唐陸勲志怪録曰 深州東鹿県中有水影長七八尺   遥望見人馬往来如在水中乃至前不見水  周處風土記曰 広野中陽燄望之如波濤奔馬謂之   水影此天地之気絪縕盪潏回薄変幻何往不有   《割書:按(あんする)に性霊集(しやうりやうしふ)其余(そのよ)前(まへ)に載(のす)る所(ところ)の書(しよ)いつれも陽燄(やうゑん)の気(き)のな■【すヵ】所(ところ)なりとす先(さき)の説(せつ)|思(おも)ひあはすへしされと今(いま)は悉(こと〳〵)く民居(みんきよ)又(また)は田園(てんゑん)に沿革(えんかく)して俤(おもかけ)をさへ残(のこ)す事なし》  武蔵野(むさしの)の勝槩(しようかい)たるや名所(めいしよ)多(おほ)きか中(なか)にも殊更(ことさら)に其(その)聞(きこ)え高(たか)く凡(およそ)  東西(とうさい)十三里 南北(なんほく)十里あまりもやあらん旧記(きうき)に四方八百里に余(あま)れ  りと書(かけ)るは筆(ふて)のすさひと云へし天正(てんしやう)以来(このかた)江戸(えと)の地(ち)を以(もつ)て御城営(こしやうえい)  に定(さため)させられしより広莫(くわうはく)の原野(けんや)も田に鋤(すき)畑(はた)に耕(たかや)し尾花(をはな)か浪(なみ)も 【枠外】 三ノ百七十四 【左丁】  民家(みんか)林藪(りんさう)に沿革(えんかく)して万か一を残(のこ)せるのみ《割書:元禄中(けんろくちゆう)柳澤矦(やなきさはかう)川越(かはこえ)を|領(りやう)せられし頃(ころ)北武蔵野(きたむさしの)》  《割書:新田開発(しんてんかいはつ)により下宿(けしゆく)といふ地(ち)の傍(かたはら)に原野(けんや)の形勢(かたち)を残(のこ)され大野(おほの)と号(なつ)くる|故(ゆゑ)に月(つき)にうそふき露(つゆ)をあはれみまた千種(ちくさ)の花(はな)を愛(めて)虫(むし)の音(ね)を賞(しやう)せんと|中秋(ちゆうしう)の頃(ころ)幽情(いうしやう)をしたふの輩(ともから)こゝに遊(あそ)へり其(その)行程(きやうてい)江戸(えと)よりは十里あま|りあり》 八幡宮(はちまんくう) 府中六所宮(ふちゆうろくしよのみや)の末社(まつしや)にして甲州街道(かいしうかいたう)八幡宿(やはたしゆく)の道(みち)より左(ひたり)に  あり祭(まつ)る所(ところ)応神天皇(おうしんてんわう)なり六所宮(ろくしよのみや)の神主(かんぬし)猿渡氏(さるわたりうち)兼帯(けんたい)奉祀(ほうし)  す相伝(あひつたふ)聖武天皇(しやうむてんわう)の御宇(きよう)日域(にちいき)の国(くに)々に勧請(くわんしやう)し営宮(えいくう)する所(ところ)の  もの皆(みな)是(これ)八幡村(やはたむら)の八幡宮(はちまんくう)といふ多(おほ)くは総社神祠(さうしやしんし)の近(ちか)きにあり  当社(たうしや)も古(いにしへ)は本社(ほんしや)礼殿(れいてん)並(なら)ひ建(たち)て荘厳(さうこん)蕩々(たう〳〵)たり其後(そののち)は漸(やうやく)  衰敝(すゐへい)に逮(およ)ひ今(いま)は即(すなはち)茅宮小社(かやふきのしやうしや)なり《割書:四十年あまり前(まへ)まては老杉(らうさん)一 株(ちゆう)|ありて空(くう)に聳(そひ)え千歳の徴(しるし)と》  《割書:しるにたれりされと其樹(そのき)明和年間(めいわねんかん)の|暴風(はうふう)に吹折(ふきをれ)て今(いま)は其(その)あとのみを存(そん)せり》又(また)社境(しやけう)圃園(ほゑん)の中(なか)に《振り仮名:権ノ正|こん  かみ》といふ  地名(ちめい)あり古(いにしへ)の宮守(みやもり)居住(きよちゆう)の跡(あと)なりといへり 《振り仮名:滝の社|たき  しや》 当社(たうしや)も六所宮(ろくしよのみや)の末社(まつしや)にして八幡宮(はちまんくう)より三町あまり  東南(とうなん)の方(かた)にあり祭神(さいしん)倉稲魂大神(うかのみたまおほかみ)なり社(やしろ)の傍(かたはら)に少(すこ)し斗(はかり)の