翻刻
【右丁】
飛泉(たき)あり六所宮(ろくしよのみや)の御手洗(みたらし)池と称(しよう)す毎年(まいねん)五月五日/大祭(たいさい)の時(とき)
神幸供奉(しんかうくふ)の輩(ともから)は五月朔日より此滝(このたき)に浸(ひた)りて身(み)を清(きよ)め神㕝(しんし)に
たつさはれりと云(いふ)
石塚社(いしつかのやしろ) 当社(たうしや)も又(また)六所宮(ろくしよのみや)の末社(まつしや)にして同所/南(みなみ)の方(かた)代小川(しろこかは)の辺(へん)に
あり祭神(さいしん)磐筒男命(いはつゝをのみこと)磐筒女命(いはつゝめのみこと)二/座(さ)なり
府中駅舎(ふちゆうのえきしや) 甲州街道(かうしうかいたう)の官駅(くわんえき)にして江戸日本橋(えとにほんはし)より七里《割書:布田(ふた)より|一里廿七丁》
《割書:日野(ひの)へ二里|八丁あり》旅舎(りよしや)多(おほ)し《割書:新宿(しんしゆく)本宿(ほんしゆく)番場(はんは)|宿(しゆく)等(とう)の名(な)あり》旧名(きうみやう)を小野県(をのゝあかた)と/称(しよう)す武蔵国(むさしのこく)
府(ふ)にして上古(しやうこ)国造居館(こくそうきよくわん)の地(ち)なり和名類聚抄(わみやうるゐしゆしやう)にも武蔵国府(むさしのこくふ)は
多麻郡(たまこほり)にありと載(のせ)たり徴(しるし)とすへし延喜(えんき)延長(えんちやう)の頃(ころ)一変(いつへん)して此辺(このへん)
すへて小川郷(をかはのかう)と称(しよう)す《割書:風土記曰小川郷穀二百六十七束|三毛田貢は松桃鞍靴之類云々》又/其後(そののち)小野小(をのを)
川(かは)の称(しよう)止(やむ)て府中領(ふちゆうれう)と総称(さうしよう)す尚(なほ)此郡(このこほり)玉川(たまかは)を境(さかひ)とし川南を多(た)
西郡(さいこほり)川北を多東郡(たとうこほり)とも称(しよう)したりし事(こと)古文書(こもんしよ)にみえたり《割書:常陸(ひたち)対(つし)|馬(ま)長門(なかと)》
《割書:越前(ゑちせん)越後(ゑちこ)皆(みな)|/府中(ふちゆう)と称(しよう)せり》
【赤印】尾﨑藏書
【枠外】 九ノ冊 三ノ百七十六