翻刻
【右丁】
一種 蒹(けん)
ひめよし
勢州(せいしう)鈴鹿山(すゝかやま)に
多(おほ)く生(せう)す又/豫州(よしう)
に多(おほ)し此(これ)にて編(あみ)
たる簾(すたれ)を伊豫(いよ)
すたれと云(いふ)名産(めいさん)
なり山野(さんや)に生(せう)ず
根(ね)は細竹(さいちく)に似(に)て
横行(わうこう)し處々(しよしよ)苗(なへ)
を生(せう)す其幹(そのみき)細(ほそ)
く青茅(かりやす)の茎(くき)の
ごとくにて硬(かた)し
直立(ちよくりつ)す葉(は)は淡(たん)
【左丁】
竹(ちく)に似(に)て薄(うす)く柔(やはら)
なり冬月(ふゆ)は皆(みな)粘(かれ)
て春(はる)新苗(しんへう)を生(せう)
ず蘆(ろ)は總名(きうめう)に
て初生(しよせい)を葭(か)と云(いふ)
成長(せいてう)したるを葦(は)
と云(いふ)萩(てき)は總名(さうめう)
にて初生(しよせい)を菼(えん)と
云(いふ)長(てう)するを乱(らん)
と云/長(てう)し極(きはめ)たる
を萑(か)と云(いふ)