翻刻
【右丁】
《題:三味長老(しやみちやうらう)》
諺(ことわざ)に沙弥(しやみ)から長老には
なられずとは沙弥/渇食(かつじき)の
いやしきより国師(こくし)長老の
尊(たつとき)にはいたりがたきのたとへ
なれども是はこの藝(げい)に
かんのうなる人の此みちの
長たるものと用ひられしその
人の器(うつは)の精(せい)なるべしと
夢の中に思ひぬ
【左丁】
《題:襟立衣(えりたてころも)》
彦(ひこ)山の豊前坊(ぶぜんぼう)白/峯(ふう)の相模(さがみ)坊
大山の伯耆坊いづなの三郎富士太郎
その外木の葉天狗まで羽/団扇(うちは)の
風にしたがひなびくくらまの山の
僧正坊の
ゑり立衣
なるべしと
夢心に
おもひぬ