翻刻
【右丁 絵図】
圓勝寺(ゑんしようし)
五石松(ここくまつ)
當寺(たうし)に五石枩(ここくまつ)とて
一株(いつちう)の古松(こちやう)ありしか
今(いま)は枯(かれ)て名(な)のみを
存(そん)せり慶長(けいちやう)の頃(ころ)
にや
大樹 御放鷹(こはふよう)の折(おり)
から 御褒詞(こほうし)ありて
枩(まつ)に五石(ここく)の知行(ちきやう)を
下(くた)し賜(たま)ふよりかくは
名(な)つくるよし云侍へり
せいし堂
開山塔
ゑんま
本堂
【左丁】
行基(きやくちうにき)菩薩(ほさつ)なり
光明山(くはうみやうさん)圓勝寺(ゑんしようし) 中里(なかさと)にあり浄土宗(しやうとしう)にして本尊(ほんそん)阿彌陀(あみた)如来(によらい)は慈覺(しかく)大師(たいし)
の作(さく)脇士(けうし)二菩薩(にほさつ)は惠心(ゑしん)僧都(そうつ)の作(さく)なり開山(かいさん)は深蓮社(しんれんしや)聖法(しやうほふ)上人 當寺(たうし)
始(はしめ)に御城内(こしやうない)竜(たつ)の口(くち)にありしとそ
勢至堂(せいしたう)《割書:本堂の右(みき)の方 少(すこし)の丘(をか)山の上(うへ)にあり三尊(さんそん)の弥陀佛(みたふつ)を安(あん)す倶(とも)に佛工(ふつこう)春日(かすか)の作なり今|故(ゆへ)ありて勢至堂(せいしたう)と唱(とな)へり》
藤林山(とうりんさん)西福寺(さいふくし) 染井村(そめゐむら)にあり眞言宗(しんこんしう)にして本尊には阿弥陀(あみた)如来(によらい)
を安(あん)す德一(とくいち)大師(たいし)の作なり當寺(たうし)は狹少(けうせう)の地(ち)なりといへとも尤(もつとも)殊勝(しゆしやう)の梵(ほん)
刹(せつ)なり
染井(そめゐ)稲荷(いなり)社《割書:本堂の左にあり往古(むかし)よりの鎮坐(ちんさ)にして染井(そめゐ)一村(いつそん)の鎮守(ちんし)也 昔(むかし)此所に染井(そめゐ)と|号(なつく)泉(いつみ)ありしか今(いま)は水(みつ)涸(かれ)て其跡(そのあと)を失(うしな)ふ村(むら)を染井(そめゐ)と云(いふ)もこの泉(いつみ)によるとそ》
佛寶山(ふつはうさん)無量寺(むりやうし) 西光院(さいくわうゐん)と号(かう)す同所北の方 西原(にしかはら)にあり真言宗(しんこんしう)にして弘法(こうほふ)
大師(たいし)の作(さく)不動尊(ふとうそん)を本尊(ほんそん)とす開山(かいさん)は行基(きやうき)菩薩(ほさつ)なり本堂(ほんたう)にかくる
南無(なむ)阿彌陀佛(あみたふつ)の額(かく)は幡随意院(はんすいいゐん)了碩(れうせき)和尚(おしやう)の筆(ふて)なり
阿弥陀堂(あみたたう)《割書:本堂の右(みき)にあり本尊(ほんそん)は行基(きやうき)菩薩(ほさつ)の作|六阿弥陀第三番目なり》