東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 3

唐詩選画本, [五編]5巻 - 翻刻

唐詩選画本, [五編]5巻 - ページ 29

ページ: 29

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  与(と)_二高適(かうせき)薛拠(せつきよ)_一同(おなじく)登(のぼる)_二慈恩寺浮図(じおんじのふとに)_一  岑参(しんじん) 塔勢(たふせい)如(ごとし)_二湧出(ゆうしゆつする)_一。孤高(こかう)聳(そびへ)_二 天宮(てんきうに)_一。登臨(とうりん)出(いづ)_二世界(せかいを)_一。磴道(とうだう)盤(わだかまる)_二虚空(こくうに)_一。 突兀(とつこつとして)圧(あつし)_二神州(しんしうを)_一。崢嶸(さうかうとして)如(ごとし)_二鬼工(きこうの)_一。四角(しかく)礙(さへ)_二白日(はくじつを)_一。七層(しつそう)摩(なづ)_二蒼穹(さうきうを)_一。 下窺(くだしうかゞつて)指(さし)_二高鳥(かうてうを)_一。俯聽(ふていして)聞(きく)_二驚風(きやうふうを)_一。連山(れんざん)若(ごとく)_二波濤(はとうの)_一。奔走(ほんさうして)似(にたり)_レ朝(てうするに)_レ東(ひがしに)。 靑松(せいしよう)夾(さしはさみ)_二馳道(ちだうを)_一。宮觀何玲瓏(きうくわんなんぞれいろうたる)。秋色(しうしよく)従(より)_レ西(にし)来(きたり)。蒼然(さうぜんとして)満(みつ)_二関中(くわんちうに)_一。 五陵北原上(ごりようほくげんのうへ)。万古青濛々(ばんこせいまう〳〵)。浄理了(じやうりついに)可(べし)_レ悟(さとる)。勝因夙(しよういんつとに)所(ところ)_レ宗(そうとする)。 誓(ちかつて)将(まさに)【左ルビ「す」】_二挂(かけ)_レ冠(かんふりを)去(さらんと)_一。覚道(かくだう)資(たすく)_二無窮(むきうを)_一。   【印「天真」】 ------------------------------------------------------------------------------- 《割書:唐(たう)人の詩(し)は寺方(てらがた)などへ行(ゆき)ては風流(ふうりう)に仏書(ぶつしよ)の文字(もんじ)を用(もち)ひ本意(ほんい)にかゝはらず寺院(じゐん)に|したしき字(じ)を用ることじや塔(とふ)をみれは中〳〵人の力(ちから)には此やうに高(たか)くは造(つく)られまい大地(たいぢ)から|わき出たものてあらうとおどろくていを法華経(ほけきやう)の文字(もんじ)を用たいくらも有(あれ)どもこれに|つゞく塔(たふ)はない大方(おほかた)天(てん)へもとゞくべくみゆる宮(きう)の字(じ)は韻字(ゐんじ)故ふみたれどもたゞ天の|ことじや登(のほり)てみれば人間世界(にんげんせかい)を出(いで)ものしづかなことじや石(いし)の坂(さか)をはしごのことにもちひ|あちらこちらへはしごをのぼるは虚空(こくう)を行(ゆく)ごとし都(みやこ)には高(たか)き家(いへ)もあれ共 都中(みやこぢう)か一目(ひとめ)に|みゆる此 崢嶸(さかしき)細工(さいく)は鬼神(きしん)の手(て)で作(つく)りしならん四方(しはう)の軒(のき)ばが出て居(ゐ)るゆゑ日(ひ)かげさへさゝ|ぬ七 層(そう)の高(たか)き塔(たふ)ゆゑ青(あを)そらも摩(なでる)かと思(おも)はる高(たか)く飛鳥(とふとり)も目下(めした)にみへ驚風(きやうふう)も|下(した)から吹(ふく)と聞(きこ)ゆる聴(てい)は耳(みゝ)をかたぶけきく意(こゝろ)聞(ぶん)はしぜんに聞(きこ)ゆる意(こゝろ)じや高山(たかやま)のなら|びしは波(なみ)のうね立(たち)東方(とうばう)へ朝(てう)するごとくつらなりつゞき目(め)の下(した)にみゆる都(みやこ)ちかき所(ところ)ゆゑ|天子(てんし)の御 路(みち)並木(なみ)など青(あを)〳〵と其 間(あいた)に天子(てんし)の宮観(きうくわん)も立(たち)てあるがきらめき玲瓏(れいろう)と|玉(たま)がすきとをるごとくみゆる秋(あき)の気(き)は西(にし)よりするゆゑ西(にし)より来(きた)り都関中(みやこくわんちう)あたりもこ|んもりと物(もの)さびしげにみゆ都(みやこ)の北(きた)に漢(かん)の時代(じだい)の天子(てんし)の陵(みさゝぎ)が五ヶ所有が年久(としひさ)しく過(すぎ)たれば|青(あを)〳〵と草木(くさき)しげりさしもさかんなりし天子(てんし)もあのやうになられた人はたのまれぬはかなき|ものと思へは無常心(むじやうしん)がうかみ是迄(これまで)清浄(しやう〴〵)の理(り)はさとりがたからんとおもひしが今日(けふ)こゝへ|来(き)てみれば悟(さと)れそうに思(おも)ふ仏法(ぶつはふ)清浄(しやう〴〵)の理(り)難(かた)いものじやと宗(そう)とし尊(たつとん)だが勝因(しよういん)|縁(えん)となつたそうな世(よ)の中(なか)に居(ゐ)ては有為(うゐ)のならひに引(ひか)され仏法(ぶつはふ)に趣(おもむ)きにくい|からぜひ官(くわん)をやめやうとおもふこれもけふ此処へ来(き)たが資(たすけ)になつて無窮(むきう)の道(みち)を|合点(がてん)したからじや》