東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 3

唐詩選画本, [五編]5巻 - 翻刻

唐詩選画本, [五編]5巻 - ページ 31

ページ: 31

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  幽居(ゆうきよ)   韋応物(ゐようぶつ) 貴賤(きせん)雖(いへども)_レ異(ことなりと)_レ等(しな)。出(いづれば)_レ門(もんを)皆(みな)有(あり)_レ営(いとなみ)。独(ひとり)無(なし)_二 外物牽(ぐわいぶつのひく)_一。遂(とぐ)_二此幽居情(このゆうきよのじやうを)_一。微雨夜来(びうやらい) 過(すぐ)。不(ず)_レ知(しら)春草生(しゆんさうのしやうずるを)。青山忽已曙(せいざんたちまちすでにあくれば)。鳥(てう) 雀(じやく)繞(めぐつて)_レ舍(いへを)鳴(なく)。時(ときに)与(と)_二道人(だうじん)_一偶(ぐうし)。或(あるひは)隨(したがつて)_二樵(せう) 者(しやに)_一行(ゆく)。自(おのづから)当(まさに)【左ルビ「べし」】_レ安(やすんず)_二蹇劣(けんれつに)_一。誰謂(たれかいふ)薄(うすんずと)_二世栄(せいえいを)_一。 ------------------------------------------------------------------------------- 《割書:官(くわん)をやめ人にしられぬやうに引籠(ひきこもり)て居(ゐ)るを幽居(ゆうきよ)と云今の世のありさま|高(たか)いも低(ひく)いも宅(いへ)を出さへすればそれ〳〵相応(さうをう)のいとなみがあるが我(われ)は何(なに)一ツ|ほしいとも思はず富貴(ふうき)も官録(くわんろく)も望(のぞ)みなく無性(ぶしやう)に引込居(ひきこみゐ)れば幽居(ゆうきよ)を遂(とぐ)る|といふものじやうつら〳〵寝(ね)て居(ゐ)れは雨(あめ)がふり過(すぐ)るそうなが無性(ぶしやう)なる幽居(ゆうきよ)な|れは庭(には)に若草(わかくさ)が生(はへ)たやらそれもしらぬあけ方(がた)軒(のき)をめぐつて鳥(とり)がさへづる|にて夜(よ)があけたそうなとねながら聞(きい)てゐる幽居(ゆうきよ)の人跡(じんせき)たえた処(ところ)でも時々(とき〳〵)同(おな)じ|やうな道人(だうにん)に出会(であひ)あるひは辺(あたり)の樵夫(きこり)などにつれ立(だち)ふら〳〵あそびありくおの|づから蹇劣(けんれつ)かんあんを安(やす)んじ居(ゐ)れとも世間(せけん)には韋応物(ゐようぶつ)は富貴(ふうき)官録(くわんろく)|にのぞみなしと気性(きしやう)を高(たか)くかまへ隠者(ゐんじや)のまねをするとそしるであら|ふが中〳〵そうしたことではない元(もと)より無性(ぶしやう)ものゆゑ世(よ)の中に居(ゐ)て何(なに)|の役(やく)に立(たゝ)ぬによつて官位(くわんゐ)も俸録(ほうろく)も浮世(うきよ)の栄花(えいぐわ)はきらひもの幽居(ゆうきよ)が心(こゝろ)|に叶(かな)ふてよい気(き)の高(たか)いではない唯(たゞ)無性(ぶしやう)て引(ひき)こんでゐると上(うは)べはかく云て|実心(じつしん)は我(われ)才智(さいち)あれども世(よ)にもちひられずにゐるゆゑかくゐんとんして|ゐるとふくませて作(つくつ)た詩(し)じや》