翻刻
【右丁】
桃梟(とうけう) もゝのきまもり
桃膠(とうれう) もゝのきのやに
桃符(とうふ)
田村氏云 戸守(とまもり)ふた也 中華(ちうくは)にては桃の木にて作る故 桃符(とうふ)
といへりと日本にては桃を用ゆる者なし
桃橛(とうけつ) もゝの木のくい
田村氏云桃のくい本邦にてはやかために桃の木を用る者
なし
【左丁】
栗(りつ) くり《割書:和名|鈔》 君州果(くんしうくは)《割書:名物|法言》
大樹にして春月葉を生す長くして周りに軟剌(なんし)【刺ヵ】あり初夏花
あり形 鼠尾(そひ)に似て長さ七八寸花の茎の本に毬を結ふ
剌【刺ヵ】多し秋の末熟すれは自ら烈けて子顕る皮厚く
黄褐色内に黄白色の栗荴(しふかは)あり肉黄色なるもの味
ひ尤も勝れり又丹波の出る物名産にて大なりこれ集
解の板栗(はんりつ)也毬中に三顆(さんくは)あるものは尋常也若二顆あれは
其一顆は実せすこれをしやくしと云則時珍云 栗楔(りつけつ)なり
又毬中に一顆あるものあり小児肉を去て一穴を穿(うか)ち
これを吹く時は音(ね)あり故にひよう〳〵くりと云附方に独(とく)
顆《振り仮名:栗子|■■し》【注】《振り仮名:独殻大栗|とくと【こ】くたいりつ》と云凡栗を材とすれは久ふして腐(ふ)
朽(きう)せす
【注 「栗子」のルビは「くりし」ヵ「りつし」ヵ。一字目の■は「こ」「と」に見える。】
【二十八行四字目~「独殻大栗」のルビ三字目「と」は上から「こ」に書き直しているようにも見える】