翻刻
【コマ2】
【見返し】
元禄五年到本は必ず後印本と認むへき様態なれ
は、その初印のもと板あらんと心掛けしに、このせ東
都古書展にて見出しつ。珍本なり。他に見たること
なし。
川瀬一馬
【左丁】
鳥羽院(とはのゐん)の御時。ほくめんに。めしつかはれし人侍り
き。左兵衛のせう。藤原岡清(ふちはらののりきよ)。出家(しゆつけ)の後(のち)は西行
法師(ほうし)といふ。かの先祖(せんそ)は。あまつこやねのみこと。十六代
のこういん。ちんしゆふの将軍(しやうくん)。ひてさとに。九代の
はつそん。ゑもんの大夫ひてきよには孫(まご)。康清(やすきよ)に
は一 男(なん)なり。弓矢(ゆみや)の家(いへ)につたはり。武芸(ふげい)の
ほまれをほとこす。養由(やうゆう)か百矢(もゝや)の。かいなさし
をならひ。張良(ちやうりやう)か三 略(りやく)の書(しよ)をきはむ。そよそ
文(ぶん)をこのみては。菅家紀家(かんけきか)のきうさうをがく
して。ほたるをひろひ。雪(ゆさ)をあつめて身を照(てら)
すなかたちとす。管絃(くはんけん)の道(みち)もくらからす。かるかゆへに。