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守を待所へ引かへし来り。さあしんわうをわたさぬかと。やりおつ取て待にける。長五郎
おどろかす。もはやしん王さまはふねにめしをち給ふぞ。其間なぐさみにひまをいれるぞ。につくきやつ
とやりにてつけはかいくゞり。なんなくひぜんのかみを切てすて。らうどう共【郎党共】に打むかい。今はほん
もふとげけれは我は是ゟおち行ぞ。みな〳〵それにとうみへざんぶと入けれは。むねんながらも侍
共都をさして急きける。爰にかづらき山にすむせんたい女は。の山をいゑとす山うばの。つゑにすがりてよろ【?】
おい吉田の宮にまふて。なむよし田大明神今一たび我すがたをわかやがして給はれと。ふかくいのる。かんぬし打わらいおよば
ぬ事をねがい給ふ。それに付みかどくわん白ゟ。金玉丸といふ人又はかせ長れい両人此所へさんけいするを聞召せんぎある。もしけが
のあれはいかゞはやくげこう【下向】し給へ。心へましたと立帰り。かも川はしを打渡りしに。はしにけしとみ【?】まもりふくろを川へ
おとす。何とせんと身もだへすれど取ゑん事かなはず。然る所へはかせ長れい此所をとをりける。らう女是申此川へまもり
ぶくろをおとして有。取あけて■■ませ。長れいたのまれかわへとびこみ。ながれしふくろを取あけうばにあたふる。悦びい
たゞき長れいがかほをみてのがさぬ長れいつまのかたきとつへふりあげれは。とびしさり。我身には覚へなし。長れいと
いふなかずおゝし【言ふ名数多し】。人たがいならんといふ。所へ又金玉丸いづくにか有けんとんて出。是長れいぜんじやうのかたき我身のかたき。かく
ごせよとほこふり上れは。うば太子にむかい我つまのかたきなんぢに打すべきかと。二人あらそひ打てかゝる。長れいしばらく打
合しが。もとよりまほうの身なればすかたはみへず。二人の物こゝやかしこを尋。ひけう物【卑怯者】出よとのゝしる。長れいはしのうへにつつ立
こりや方〳〵是に有ぞ。して某をかたきといふ事心へずようすあらはかたるべしと。かのうばをみれは二八年【才?】のびじんの
【左ページ】
すかたと成。長れいみて扨はきつねたぬきにて。某をたぶらかさんとはかなふましきぞ。うばふしぎをなし我すがたを
水にうつしみればわかやぎたり。扨は我ぐわんかなふたりと。そば成松の木ねよりぬき持。是長れいわがつまはきんふ山【金峯山】
にてぐづうのおきなといゝしが千年のよはひをたもたんとやくそくし。某はかづらき山に住。此頃つまのいわやへ入みれはむ
くろ斗【ばかり】あり。あたりの人に尋ねけれは。こんどみかど御子なき事を。長れいにうらなはせ御らん有に此おきなのわざとうら
ないしゆへ。ちよくでうくだりくびをうたれ給ふと聞。何とぞ今一たびわかやぎ其方をうたんと此宮へさんけいし。■にて
あふ事のうれしや。よくもころさせ給ふとなげく。金玉丸やうすを聞。何其ぐづうのつま成とや。我は其おきなていゐに生れ来
れ共。是成長れいあく王といつはりうらないはかせ■のていに成て有とかたる。扨は我つま成けるかとたがいむかしをかたりやく
そくのゆびを取かはし。ふしぎに二世のちぎりをなす。長れい聞何金玉丸とや我ゑきの【易の】おもて【?】にまかせうらなへはいつわりの
■べき。みかど十か年をまたずしてころさせ給ふゆへかやうのみだれと成。何とぞこなたにたいめん申。共〳〵くわん白を打ほろ
ぼし御代に出し奉らんため。尋ね【?】申と大小ぬきすてらいをなせは。其しんていをしらずうたがふたりと東【?】にざんげしの給ふ所
へ。杢之丞しん王御供仕り。此の所へ来り給い金玉にたいめんまし〳〵。■■悦び有所へくわん白大ぜい引ぐし吉田に
来りけるを。大ぜい取合かねみちを切すて。大りにつかせ給ふ。だいご天王めでたくくわんぎよ【還御】有。はぎはらしんわう
御くらいに付。金玉丸ふうふもろ共御てんに入給ふ。御悦びの御のうばしまれは【?】つぼねそれ〳〵に■んく■有■■■■
守御なぐさみとてや■をよみ上る。【ここより御悦能のキャスト】太夫はうらべの長れい。ワキせんだい女。三位は中宮花鳥のまへ中将【?】さぬき
小【?】つゞみのあまの長五郎。大つゝみ左京。太こ【太鼓】いどほりこんの介。其ぎし■取おこないすてに御のふはじまり有平秋方■■【最期の二行は汚れ多し】