翻刻
【運営者コメント:本史料は1枚の画像が4分割されてスキャンされています。文章部分をこのコマにまとめて翻刻して頂ければ幸いです。資料中の地名については、画像中に直接文字を埋め込むシステムを開発中です。現時点では文章部分だけ翻刻して頂けますと助かります。ご協力ありがとうございます。】
凡四大種の中に水火風の三は常に害をなす事あれど大地にいたりては殊なる
変をなさすと覚侍るに恐れの中にをそるべからしは多く地震(ない)なりける以上長明
◯こゝに弘化四年《割書:丁|未》三月廿四日夜《割書:央|尅》信乃国川中嶋の辺第四郡の地大にふるひ
山くづれて谷をうずみ河かたふきて陸をひたせりそが中にも稀代の大変と
聞へしは更級郡平林村なる岩倉山《割書:又虚空蔵|山とも云》といへる高ねいたゝき両端に崩れ
名たゝる犀川をへだてゝ水内郡にわたり山下の村落(むら〳〵)こと〳〵く水中にをとしいれ岩石
巨木さなから堤防をなしさしも聞ゆる大河なれともこゝに於てつゆのはす事
なく下流にいたり幾ばくの舟渡一時水をち舟くだけて人みな徒行してのかれあへて
踵をぬらすものなしすべて犀千隈ながれに添へ西北の地崩裂いと甚く井に泉なく
川に流れなく舎屋(いへや)抔くつがへり身を傷ひかたはつけるもの数をしらす或は
焔火にまかれて忽に死し或はわつかに身一ツからくしてのかれ資財を
とりいづるにいとまなくその歎きかなしむ声耳に喧くそのあはれさは
今もなほ骨身にそむ大地のふる事
しはらくもたへまなく山岳の
鳴どよむ音によの〳〵掏に
ひたかひ山を負る家は
忽にかたふかん事を
うれへ川のほとりなる
ものは水のために溺れん
となげくいまたしらす
山院くつれ湛水あふれ
出て其害のいかなる
事を嗚呼実にをそるべきのとき
なりける