翻刻
ずして有つるが。天女があ
りどころををしへとらせけ
るぞとおもへば。たちまち
しらかみのまき物。二三ぐわん
御まへにふきぐたる。あんにも
たがはざれば。をつかけよとあ
りしかば。あはうらせつ【注】の鬼(おに)
ども。千(せん)人ばかり出(いで)あひて。我(われ)
さきにといそぎつゝ。てんくはん
のぼうにぶすのやをはめて。
うきぐつ【浮沓=馬にはかせる水上歩行の靴】といふむまなどに。
うちのりてこそをつかけゝ
る。御ざうしあとをきつとみ。
【注 阿傍羅刹 阿傍=地獄の獄卒。羅刹=人をたぶらかし、血肉を食うという悪鬼。阿傍羅刹とは阿傍の暴悪さは羅刹に等しいところからいう】