翻刻
納屋等に至ること悉(こと〳〵)く大船の爲に打砕(うちくた)かれ且
道頓堀川筋は日吉橋 汐見(しほみ)橋 幸(さいわい)橋住吉橋この
四ツの橋 押落(おしをと)し其音百雷の落来ることし漸
大黒橋にて水勢三方へわかれ候事故此所にて
船止る込合居候船千石已上已下の船凡三百余【餘】
艘 剣先(けんさき)以下の小舟凡千艘 崩(くつ)れて形(かた)ち無之
舟数を知らず又安治川は同様の勢ひなれ共(とも)
川はゞひろく道頓堀川筋よりは死人 破船(はせん)等も
すくなく橋は安治川橋亀井橋二ヶ所落ち堀
江川筋落橋水分橋黒金橋長堀川高橋落る
道頓堀西横堀金屋橋 帆柱(ほはしら)にて半崩れ実(しつ)に
あはれ成は地震 最中(さいちう)に上荷【「上荷舟」の略。】茶舟等の小舟
にておもひ〳〵に地震を除(よけ)んとて内川に
舟住居(ふなすまい)致し且は浜側(はまかは)の明地(あきち)へ逃出(にけいた)し居候
男女老若右の津浪にて一人ものこらす水
死いたし候恐るべし〳〵