翻刻
【右丁】
覆盆子(ふくほんし)
漢種(かんしゆ)の物(もの)処々(しよ〳〵)薬圃(やくゑん)にあり形状(かたち)薔薇(しやうひ)《割書:は|ら》に似て一茎五七葉 光沢(つや)あり枝(ゑた)幹に白粉(しろきこ)ありて剌【刺の誤ヵ】あり夏月花
あり一 枝(し)数十花(すじつくは)五弁白色 実(み)は蓬虆(ほうるい)に似て紅色なり和産のとつくりいちこは実の形とつくりに似
たるゆへ名づく形状(かたち)相似(あいに)たり
一種 こしきいちご《割書:仙|台》
幹(みき)は蓬虆(ほうるい)に似て紅色の毛剌(け)【刺の誤ヵ】多(おほ)く枝(ゑた)直立(ちよくりつ)し葉は一枝五葉 全(まつた)く荼蘼(どび)に似て狭(せは)く長(なが)く花実(はなみ)県(けん)
釣子(こうし)【注①】と同(おな)し
一種 五葉いちこ 薔薇葉(しやうびやう)蓬虆《割書:喜【嘉の誤ヵ】祐|本草》
わせいちこ やふいちこ
処々(しよ〳〵)山野(さんや)にあり宿根(ふるね)より生(せう)す又 旧茎(ふるくき)よりも生す葉茎 毛茸(け)あり一茎五葉にて荼蘼(どび)《割書:こや|をき》に似て光(つ)
沢(や)なく春月五弁の白花を開く形(かたち)桃(もゝ)の花(はな)に似たり実(み)は五尖(こせん)の蒂(うてな)ありて桑椹(さうじん)《割書:くは|のみ》に似て紅黄色なり
陣士良(ちんしれう)【注②】の説(せつ)に葉(は)《振り仮名:似_二野薔薇_一|やしやうひににたり》と云 是(これ)なり
【左丁】
こじき
いちご《割書:仙|台》
【版心の中央部に記載あり】
こしきいちこ
【注① 「県(縣)釣子」は「懸鉤子」の誤ヵ。『日本国語大辞典 精選版』(小学館)に「懸鉤子」の項有り。】
【注② 「陣士良」は「陳士良」の誤ヵ】