翻刻
【右丁】
牽牛子(けんごし) けにこし《割書:万葉|集》 あさかほ《割書:本草|和名》
ブラーウ、コロキスケンス、ウインテ《割書:荷蘭|蠻語箋》
あさかほは世(よ)に多(おほ)く知物(しるもの)なり尋常(つね)の品(ひん)は葉(は)三 尖(せん)ありて蔓(つる)をなし夏月(なつ)花(はな)を開(ひら)く蒂(へた)は
茄(か)《割書:な|す》に似(に)て小なり旋花(せんくわ)に似(に)て大(おほい)に碧色(るりいろ)早晨(さうしん)に開(ひら)き午(ひる)にしぼむ黒色(こくしよく)なるを黒丑(こくちう)と
云(いふ)即(すなはち)黒牽牛(こくけんごし)【注】なり一種 白牽牛子(はくけんごし)あり白花のあさがほの子(み)にして色(いろ)白(しろ)しこれ白丑(はくちう)
なり凡(およそ)牽牛花(けんこくわ)色(いろ)一ならす人 玩賞(くわんしやう)して実(み)を栽(うゆ)れは形(かたち)色(いろ)百出(ひやくしゆつ)す
一種 てうじなす はりあさかほ
春(はる)実(み)を栽(うゆ)葉(は)円(まる)くして尖(とか)り何首烏(かしゆう)の葉(は)に似(に)たり蔓(つる)に疣(いほ)多(おほ)し花(はな)の蒂(へた)長(なか)く形(かたち)
【左丁】
丁香(てうじ)に似(に)て大(おほい)なり花(はな)は旋花(せんくわ)《割書:ひる|かほ》に似(に)て大に白色中心 紫色(むらさきいろ)なり実(み)下垂(けすい)す生(なま)なる
ときは採(とり)て塩蔵(ゑんざう)し亦(また)煮(に)て食(しよく)す中子白色白花の牽牛子(けんごし)と同(おな)し故(ゆえ)に時珍(じちん)此物(このもの)
を以(もつ)て白牽牛(はくけんご)とするは誤(あやまり)なりてうじなすは漢名(かんめう)丁香茄苗(てうかうかへう)《割書:救荒|本草》といふ
【注 「子」脱ヵ。振り仮名の「し」無ヵ、振り仮名の「し」の部分が他の「し」に比べて短い。】