翻刻
【右丁】
兎糸子(としし) 一名 金線藤(きんせんとう)《割書:揚州|府志》 ねなしくさ《割書:本草|和名》
ねなしかつら うしのそうめん《割書:筑|前》
サイサムシ《割書:朝|鮮》 キユスキユタ《割書:荷|蘭》
初夏(なつのはしめ)山野(さんや)の草莽(くさむら)中に実(み)より生(せう)す始(はしめ)生(せう)する時(とき)は長(なか)さ四五分の白糸(しろいと)の如(こと)くにて葉(は)なし其(その)蔓(つる)傍(かたはら)の草(くさ)
に纏(まと)ふ長(てう)するに従(したかつ)て根(ね)の方(かた)枯(かる)る其 紆(まと)ふ所(ところ)悉(こと〳〵)く肉(にく)を生(せう)し樹(き)を接(つく)か如(こと)し他草(たさう)の気(き)を吸(すゐ)て
生長し終(つゐ)に絡(まとひ)たる草木を枯(から)すことあり夏秋の間 蔓(つる)紅色(こうしよく)になる糸(いと)を乱(みた)したるか如し節(ふし)の
間(あいた)に小白花(せうはくくは)をあつまり開(ひら)き後(のち)実(み)を結(むす)ふ大麻子(あさのみ)より大なり殻中(からのうち)三四仁あり形(かたち)蘿蔔子(らふくし)《割書:たいこ|のみ》に似(に)
たり此物(このもの)他物(たふつ)の気(き)を仮(かり)て長(てう)するゆゑ毒草木(とくさうもく)に絡(まと)ひたるは用(もちゆ)へからす桑(くは)五加(うこき)枸杞(くこ)等(とう)に生(せう)じ
たるは必(かならす)功(こう)あるべし
【左丁】
【版心の中央部に記載あり】
兎糸子