翻刻
【右丁】
ひめくず
【左丁】
鉄葛《割書:附|録》 てつべんかつら《割書:江|戸》 くまのはら《割書:武州|志村》 くまやなき《割書:日光|上野》
とゝら《割書:佐|州》 とうつら《割書:▼》《割書:越|後》 くまふじ《割書:豆|州》 ちからかつら
漢名青舎子条《割書: 救荒|《割書: |◼》本草》 一名 山藤《割書:盛京|通志》
山野(さんや)にあり藤蔓(つる)長(なか)さ一丈 余(よ)大なるは母指(おやゆひ)の如(こと)く嫩条(わかきしの)は緑色(みとりいろ)老(らう)すれは黒色 鉄(てつ)の如(こと)く堅硬(かたく)
刀斧(たうふ)にて切(きり)かたし幹(から)直(すく)なる処(ところ)を採(と)りて馬鞭(むち)に作(つく)る故(ゆえ)にてつべんかつらと云(いふ)春月(はる)葉(は)を生(せう)
す胡枝子花(こしゝくは)《割書:は|き》の一葉の如くにして小く紋理(もんり)細蜜(さいみつ)【密ヵ】なり又 榔楡(ろうゆ)《割書:あき|にれ》に似(に)て鋸歯(かゝり)なく円茎(まるきくき)
互生(こせい)し夏月(なつ)枝(ゑた)の梢(こすへ)に穂(ほ)をなし小花を開(ひら)き小子を結(むす)ふ枸杞(くこ)より小なり初(はしめ)緑色(みとりいろ)後紅色 熟(しゆく)すれば
黒色 越後(ゑちこ)の小児採り食ふ佐州にては春月葉を採(とり)菜(さい)となし食(くろふ)豆州志云 聖武天皇の御宇尾張女
左手にて三野 狐(きつね)を捕(とら)へ右の手にて熊葛(くまかつら)の鞭(むち)を以(もつて)打(うつ)に其鞭(そのむち)に肉つきたりと云このくまつヾらはくま
ふじなりと云(いふ)一種 特生(とくせい)にして条蔓(つる)長(なか)からさる物(もの)あり是(これ)は実(み)大(おほい)なり
【版心の中央部に記載あり】
鉄葛
【六行目と七行目の▼◼は汚れであるかは不明】