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しかなむきこえさせ給ふとはかりきこゆわたり給はんと
て御ひたいかみ【額髪】のぬれまろかれたる【注①】ひきつくろひひとへ【単衣】
の御そ【衣】ほころひたるきかへなとし給てもとみにもえうこ
い給はすこの人〳〵もいかに思ふらんまたはしり給はりし
よとおほしあはせんもいみしうはつかしけれはまたふし
給ひぬ心ちのいみしうなやましきかなやかてなをら
ぬさまにもなりなはいとめやすかりぬへくこそあしの
け【注②】ののほりたる心ちすとをしくたさせ給ふものを
いとくるしうさま〳〵におほすにはけそあかりける
少将うへにこの御事ほのめかしきこえける人こそ
【注① 丸かれたる=くっつきあって丸くなっている。】
【注② 脚の気=脚気。また、脚の血がのぼって頭や顔がほてる症状ともいう。】