翻刻
【右丁】
いけまは山野にあり春月(はる)宿根(ふるね)より生す葉(は)は蘿藦(らま)《割書:かゝ|いも》に似て円(まる)く円茎(ゑんけい)対(たい)
生(せい)し蔓(つる)長(なか)さ一丈に及ふ穂(ほ)をなして小白花 族生(そくせい)す又 蘿藦(らま)に似(に)たり実(み)莢(さや)を
なす形(かたち)糸瓜(しくは)に似(に)て短(みしか)に又 蘿藦(らま)に似(に)たり奥州(おうしう)出羽松前 蝦夷(ゑそ)地に産(さん)す
る物は根大 枯骨(ここつ)の如(こと)く油(あふら)に漬(つけ)て金療(きりきす)を治(し)す蘇恭(そけう)の説(せつ)に苗(なへ)《振り仮名:似_二蘿摩_一|らまににて》葉(は)
円(まるく)厚(あつく)茎 有白毛(はくもうあり)《振り仮名:与_二衆草_一|しうさうと》異(ことなり)用藿(くはくをもつて)《振り仮名:療_レ毒|とくをれうす》《振り仮名:有_レ効|こうあり》と云 是(これ)なり
【左丁】
白英(はくゑい) ひよとりしやうご やぶさんさし《割書:尾|州》
山野《振り仮名:■籬|まかき》【注】の辺(へん)に多(おほ)し春月(はる)旧条(ふるつる)又 宿根(ふるね)よりも生す葉は菊に似て鋸歯(かゝり)
なく五尖(こせん)あり毛茸(け)多(おほ)し葉(は)の茎(くき)を以(もつ)て物に絡(まと)ふ秋月(あき)枝間に房(ほう)をなして
五弁(いつへら)の白花を開く形(かたち)竜葵(りうき)花の如(こと)く実(み)は紅色にして大さ竜珠(りうしゆ)《割書:はたか|ほふつき》の
如(こと)し釈名に時珍(しちん)の説(せつ)に白英(はくゑい)《振り仮名:謂_二其花色_一|そのはなのいろをいふ》又 集解(しうかい)に《振り仮名:開_二小白花_一|せうはくくはをひらく》と云 是(これ)
なり然(しか)るに一 説(せつ)にまるばのほろしを充(みつ)るは誤(あやまり)なりまるばのひよどりじやう
こは花(はな)紫色(むらさきいろ)なり蜀羊泉(しよくやうせん)なり
【版心の中央部に記載あり】
白英
【注 ■は艹+播。『本草図譜.巻25-27』8コマでは「藩」、『本草図譜.巻28-30』11コマでは「播」】
【七行四~六字目は「有_二白毛_一」ヵ。十一~十二字目は「用_レ藿」ヵ。】