翻刻
序
年は数(かぞ)へて知(しる)形(かたち)は鏡(かヾみ)で見(み)る形(かたち)なき物(もの)を化(ばけ)ものといふ
其(その)化物(ばけもの)を顕(あらは)さんと欲(ほつ)すれど魑魅(ちみ)皮(かは)不新(あたらしからず)古(ふるき)趣向(しゆこう)骸垢(よごれ)れ
たれど洗濯(せんたく)すべき日和(ひより)なければ男(おとこ)日照(ひてり)の勇士(ゆうし)を集(あつ)め
化(ばけ)の皮(かわ)武家(ぶけ)の加和(かは)に張替(はりかへ)夏(か)の禹王(うわう)水陸(すいりく)の妖怪(ようかい)を
軍中勢(くんちうせい)に譬(たとへ)一陽斎主(いちやうさいしゆ)に怪(はけ)武家物(ぶけもの)を画(くは)図(と)写(しや)して
物疆(ものおそれ)する童蒙(どうもう)に捜助(そうじょ)たらまく欲(ほつし)ぬ《割書:予(よ)》其意(そのゐ)を伸(のへ)
む言書(ことかき)の魑魅(ちみ)を陣鐘(ぢんかね)太皷(たいこ)に擬(なそら)へ飄(ひる)がへる赤白(あかしろ)の
籏(はた)は雲龍(うんりやう)の下(くだ)るが如(ごと)く勢(せい)を勧(すゝ)むる再幣(さいはい)は稲妻(いなつま)の如(ことく)
光(ひかり)都慮(すべて)城廓(しやうくはく)の魘敷(おそろしき)ことを妖怪(ようくはい)に編(つヾり)先陣(せんぢん)後陣(ごぢん)と
冊子(さうし)分(わか)ち遂(つい)に十五 帖(じやう)とはなりぬ
享和二戌早春 馬鹿山人
花道誌【字にかかり朱落款】