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翻刻
【表題】
持〇長者
【本文】
蔵建(くらたて)る力(ちから)はなくて菊畑(きくばたけ)平家(ひらや)に
すみし風雅人(よすてびと)は潰(つぶ)れたといふ咄(はなし)もなし
さて持丸(もちまる)の長者(ちやうじや)たち此節(このせつ)でこざり
ますその身(み)〳〵の分限次第(ぶんげんしだい)こゝろ
もちの施(ほどこ)しをいたしたいもので
こざり升が何(なに)をほどこしたら
よかろふやらマアこゝが御そうだん
〽さやう〳〵ごくなんじうなものを
ゑらみそれ〴〵へせぎやうして
やりましたらこれにこした
いんとくはこさりますまい
〽なるほど〳〵左様(さやう)〳〵
おやのない子や子のない
おやめのみへぬもの
つえついたとしよりなどに
ほどこしたらよをござり
ましふ〽サアそこでございます
つえをついたものにほどこす
なら此せつのたふれかゝつた
家(いへ)へのこらずほどこしを
おたしなせへナ
【下の絵の右】
積善(せきぜん)の家(いへ)に余(よ)けいな
金もちは たまりし
はらのそうじ
したまへ