翻刻
てる〳〵ぼうしが
きとうによりて
また上々の
てんきつゞき
あめはあがつ
たりやと
なり
ければ
また
〳〵
あめの
ほうで
より
やい
もふ小まち【小町】
でもいく
めへとふ
したもん
だろふとさう
だんのうちやみ
くもおもいつき
にててる〳〵
ぼうしが
ぎやうほうを
くしく【くじく?】さん
だんがよし
なぜと
いふに小町
がうたの
とくにて
まだふる雨
のやみたるは
てる〳〵ぼう
しがせかいの
りうじんを
ふうじこめたる
ゆへなりそのぎやう
ほうをさへくじき
なばりうじんいでゝ
雨をふらす事
うたがいなしと
やみくものなかま
のくもでやいに
それ〳〵のやくを
つけきれうすぐれし【器量優れし】
天人をたのんで
くものたへまとこじ
つけしらくもくろ
くものふたりをてる〳〵
ぼうしのでしとなしはくうん
こくうんとなのらしてつけ
おきくものたへまがいろじかけ
のとりもちして てる〳〵ぼうしが
ぎやうぼうを ちや〳〵むちや
にするつもり くはしくはなる
かみ上人の
きやうげんの
ごとくなれば
すじがきを
こゝには
しよる
【鳴神上人:歌舞伎の『鳴神』に出てくる僧侶の名前。天皇が祈祷の報酬を払わないことに腹をたてて龍神を封印するが、雲絶間姫の色仕掛けにまける。】
てんとうつくしい
てんわうじやの【天王寺屋:歌舞伎役者の屋号】
さん
かうと【三光:二代目中村富十郎の俳名】
きたは
【ただし、寛政二年(1798年)に二代目はまだ12〜3才だったはずなので、初代のことを言っているかもしれない。】
〽かゝるやまがに
やさぼうず
さてしゆけうじや【さて、修行者】
にやさおんな【に、優女】
とは
さしづめ〴〵?
そうづ【ぐそうづ=愚僧都?】
ふじ
たろふ【?】
といふ
もの
だ
【65行目以降は芝居だったら役者は誰だろうという話をしているので「ふじたろう」も役者の名前だと思われる。藤太郎が誰かはわからない。】
【この話に小野小町がからんでくるのは『鳴神』の中で小町の歌が雨乞いのアイテムとして使われてるかららしい。また鳴神に小町の歌が出てくるのは、ある旱魃の年に勅命を受けた小町が雨乞いの歌を詠んだらたちまち雨が降ったという伝説が元になっている。】