翻刻
【右丁】
先つ其形を取り不申候はでは其次第申し試み難く候に付姑く
爰に員数を借り設て認め候事故実々の員数とは定
て相違可仕候間其段は御差はからひ御覧可被下候扨通用の
金銀二千五百万両之物ならは千五百万両は農人の手に有之
千万両は武士の手に有之五百万両は工商之手に有之合して
弐千五百万両斯の如く夫々配当に相成有之候得は惣体
之融通至極之弁理にて天下に困窮之者は曽て無之候
其は先つ千五百万両を農人惣体に割付候はゝ人別に金
壱分弐朱程宛に相当り申候右は余りに不足之様にも相見へ
候得共決して左様なる次第にては無之候最も農人は
【左丁】
食糧を買不求候とも人々の扶食は手之物に有之衣食住と
もに事足り申候於是彼の壱分二朱は全く浮宝に有之候又
夏作秋作之畑物にて其上を壱分弐朱つゝも両度取り上け
候得は年々金三分位之融通に相成候右割付は金壱分二朱に
候得共融通は年々金三分にも壱両にも相当り可申候扨其壱分
二朱も年中農人之手にあるといふにはあらす先つ農人の
買調へは鍬鎌之類并塩肥し等にて彼の壱分二朱は此弁用と
相成候儀に御坐候然れとも其費も夏秋之作得にて尚倍々
と相成取り戻し候故右千五百万両之金は永代農人惣体之
手に有之年々融通いたし候儀は環之端なき如くに御坐候次に