← 前のページ
ページ 1 / 1
次のページ →
翻刻
得意場(とくゐは)も御 満足(まんぞく)とはお家(いへ)も潰(つぶ)れずましんますイヤそうどう
なりける■店の軒(のき)ぶちゆへる柱(はしら)には幼子(おさなご)を夢中(むちう)でおぶつて
あねへの方の手をひいてイヤ新玉(あらたま)のやうなる泪(なみだ)をこほして
夜中に野宿のひだるさしるこにろかんかつぎ売諸(うりしよ)人の
たべたる大焼場 一統(いつとう)の柱(はら)はびしりとおれ二 階(かい)の階子(はしこ)は
逃(にげ)るに難渋(なんじう)二■(さ)の櫓(やくら)は損亡(そんほう)今年四文も施ねはしわん
ぼう五ケ所の■に■は御仁心(ごにんじん)六本の卒塔(そと)婆は即死の追善
賃屋に貸夜具難義は灰燼(くわいじん)八方に響(ひゞ)くははや半鐘
九輪(くりん)の曲(まが)るは不 思義(しぎ)の根源(こんげん)滅法(めつほう)の騒(さわ)ぎは女郎客「ワツト
いふてにけいれたがコレが大きな散財(さんざい)「ヤレ万歳楽さい
てもとから子供等も新造なんぞもぞろりやどつと逃る
【み】りやどつとまいる「チゴハ旦那(たんな)さんも薄着(うすき)ならおかみ
さんもうす着(ぎ)お金の前の三助なんざァまつ裸(はだか)でかなてこや
靏(つる)ッぱしをおんがらかいてあつちこつちかつぽちくれば
小部屋のすみからおさんとんがでつかいけつをむくりや
イヤむつくり〳〵はい出した「見舞に来たおかゆなんどてゝの
椀(わん)に五六ぱいもかいくらつてひよつくり〳〵参る騒動(そうどう)起(おこ)した
鯰(なまづ)なんぞはふんじばいて鹿嶌(かしま)へ参る是からはつゞひて
能(よ)ひ事斗参るおやこなんざァ朝から晩迄引切なしに
まゐるあいちからもこつちからも小判や小 粒(つふ)か
廓千軒金は万両の御受納