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翻刻
【上段】
十代 崇神(すうじん)天皇の御宇(きよう)に殊(こと)
さら神威(しんい)をおそれ給ひて豊
鍬入姫の命(みこと)を附(つけ)奉りて
大和国 磯城(しぎ)といふ所に神(しん)
籬(り)を立て斎(いつき)奉り玉ひぬ
又 内裡(たいり)には神鏡(しんきやう)の御影を
うつしてとゝめ給ふ此御神
鏡を内侍所とあがめ奉る
年は村上天皇天 徳(とく)四年
の九月にあたりて内裡(たいり)こと
〳〵く炎(えん)上す是によつて
いにしへより伝りし御宝物も
此時おゝく焼失(やけうせ)たり然とも
神鏡は温明殿(おんめうてん)といふ御殿
よりおのづから飛出(とひいて)給ひて
南殿(なんてん)の桜(さくら)の木の上にかゝらせ
【下段】
山辺赤人(やまべのあかひと)
田子(たこ)の浦(うら)に
うちいでゝ
みれば
白妙(しろたへ)
の
ふじの
たかねに
雪(ゆき)はふりつゝ