← 前のページ
ページ 36 / 116
次のページ →
翻刻
【上段】
新田忠常(につたたゞつね)が妻(つま)
忠常(たゞつね)おもき病(やまひ)に臥(ふ)す其妻(そのつま)
我身(わがみ)を以て其 病(やまひ)にかわらん事
を三島明神にいのり已(すで)に夫(おつと)
の本服(ほんぶく)を得たり其後(そのゝち)三島(みしま)
明神へ参詣(さんけい)せしに江尻(ゑしり)の
渡(わた)しにて高波(たかなみ)の為(ため)に舟(ふね)を
くつがへす船人(ふなびと)従者(じうしや)委々(こと〳〵)く
助(たす)かり新田つまも已に助(たす)か
りけれとも一たひ明神に夫の命(いのち)
をいのりて其(その)加護(かご)を得たり今(いま)我(わが)
命(いのち)を明神の召し玉ふならんとて
再(ふたゝ)び波(なみ)に入にけり
【下段】
壬生忠岑(みぶのたゞみね)
有明(ありあけ)の
つれなく
みえ
し
わかれ
より
あかつき
ばかり
うき物(もの)はなし