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【上段】
楠正行(くすのきまさつら)か母(はゝ)
楠正成(くすのきまさしけ)摂州(つのくに)湊川(みなとかは)に
打死(うちしに)す尊氏(たかうぢ)其首(そのくび)を
古郷(ふるさと)の妻子(つまこ)に送(おく)ら
しむ一子(いつし)帯刀(たてわき)ひたん
の余(あま)り持仏堂(ぢぶつどう)に入つて
自害(じがい)せんとす母(はゝ)是(これ)を
いさめて大(おゝい)に教訓(けうくん)す
よつて正(まさ)つら南朝(なんてう)を
守護(しゆこ)し父(ちゝ)が忠誠(ちうせい)をつ
ぐ此時(このとき)正行(まさつら)十四歳也
【下段】
右近(うこん)
忘(わす)らるゝ
身(み)をは
思はず
ちかひ
てし
人(ひと)の命(いのち)の
おしくも有(ある)かな