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【上段】
行基菩薩(ぎやうぎほさつ)自(みつか)ら水辺(すいへん)に
立より魚(うを)をとりて是を煮(に)て
あたへ玉へは病夫(ひやうふ)次第(しだい)に快気(くわいき)
す煮残(にのこ)し玉ふ半肉(はんにく)の魚(うを)を
こやの池にはなち給へは
鰭(ゑら)をふりて再(ふたゝ)び水中に入る
土人(どにん)今に言(いゝ)伝ふ此こやの池
の魚(うを)半目(はんもく)成とよつて是を
食(くら)はずと也 然(しか)るに病夫(ひやうふ)のい
わく我(わか)五体(こたい)くづれたゝれ
肉中(にくちう)に虫(むし)生(しやう)しかゆき事
たへがたし願(ねかは)くは我 臭血(しうけつ)を
すひてたび玉へと申けれは
【下段】
中納言朝忠(ちうなごんあさたゞ)
あふ事(こと)の
たえてし
なくは
中(なか)〳〵に
人(ひと)をも
身(み)をも
うらみざらまし