翻刻
○今 s全(しぜん)山に生ずる繭(まゆ)を取 後(のち)に教(をしゆ)るごとく
女の手業とせは民家(みんか)の重宝(てうほふ)ならん
立木へ移(うつ)すに虫の付 居(い)る枝(ゑだ)をゆひ
つくれは即時(そくじ)に枝ことにうつるなり
如此(かくのことく)糸円(いとまる)くなり
いるなりゆへ
虫(むし)のふんと
みるべし
糸末
糸口
ふんを二ツ
にきれはかく
のことく此所
糸(いと)なり
○野飼(のかい)は桶飼(をけかい)土間飼(とまかい)とちがひまゆ三割(さんわり)も少(すくな)し
○山林(さんりん)に野飼(のがい)いたし候 節(せつ)春(はる)のめを喰(くひ)し五月 上旬(ちやうじゆん)
より中旬(ちうぢゆん)ごろに繭(まゆ)かける故六月 土用(とよう)め出(いづ)る
ゆへ木(き)に少も障(さわ)りなし
○野飼(のかい)の節(せつ)風雨(ふうう)の障(さわ)りなし又しほ風も不嫌(きらわず)
餌葉(ゑは)多(おほ)くして土気(どき)有(ある)ゆへ也
土砂(つちすな)を嫌(きろ)ふ事(こと)
○虫(むし)のはらの中(なか)にて生(しやう)ずるより糸(いと)なりその
糸(いと)図(づ)の如(こと)くある故に土砂(つちすな)を食(くら)ふ時(とき)は糸の内へ廻(まわ)
り夫(それ)より糸そんじ虫 落(をつ)るなり土を食(しよく)せし
外(ほか)蚕(かいこ)を見(みる)べし糸の内へ土のとゞまる所(ところ)より虫