翻刻
【右頁】
きんやかたのをうちすきてくすは
のさとをすくるには人のうらみも
よしなくてわたなへのはしにも
つきぬゆくすゑはるかなるしま
ありあのしまをはなにといふそと
おほせられけれはおともの人あれ
なんあはちしまと申又あれに
みえたるゆきの山はみむろの山
と申侍るときこゆれはなにのみ
きゝしをいまみる事のはかなさ
よとひめ君はいよ〳〵おもひしつみ
給ふあしやのさともかすかにてひな
のすまゐそあはれなりあまの
【左頁】
つりふねとにかくに物思はぬ人たに
もたひのあはれはある物をおきつ
しらなみたゝよひてこきゆくふねも
うきしつみなにそ入えのみおつくし
つくす心もよしなしやなみにむれ
ゐるうきとりのゆきかたしらすたち
まよひこゑ〳〵になきわたりあ
はれのとりやなにといふとりそと
とひ給へはふな人ちとりと申みやこ
にてはいくとし月をふるともみる事
あらしともまとはせるむらちとりとは
これなりとおほしてかきくらす心の
うちいはんかたなし