翻刻!いきもの図鑑

コレクション: 本草図譜(くずし字)

本草図譜. 巻82-84 - 翻刻

本草図譜. 巻82-84 - ページ 26

ページ: 26

翻刻

【右丁】 はにし 【左丁】 梓(し) あつさ《割書:本草|和名》 ひさき《割書:和名|鈔》 きもみし きさゝけ   雷電(らいてん)きり はふてこぶら かわらかし《割書:筑|後》   かみなりさゝけ《割書:越|後》 かわらさゝけ《割書:濃|州》 かわらきり《割書:常|州》   ごしんかう《割書:肥|前》 たらすけのき《割書:讃|州》 榟《割書:説|文》 梓と楸と異論(いろん)あり集解に陸機詩疏を引て楸之 疏理(そり)白色而(はくしよくにして)《振り仮名:生_レ子者|みをせうするもの》 《振り仮名:為_レ梓|しんをなす》#1といゝ又時珍の説に木理(もくり)白者(しろきものを)《振り仮名:為_レ梓|しんとなす》赤者(あかきものを)《振り仮名:為_レ楸|しうとなす》と云此等の説を 考ふれは梓はきさゝけ楸はあかめかしわなること明(あきらか)也人家多く栽ゆ 樹高さ一丈余に至る樹皮白色これ梓白皮にて薬用とす葉は白桐葉 に似て三尖或は五尖(こせん)ありて海州常山に似たり夏月枝の梢に穂をなして 白色に淡紫色の細点ある花を開く形鳳仙花に似たり後細き角を 結ふ形紅豆の角に似て瘠(やせ)て硬(かた)く下垂し破(やふ)れは中に子あり

現代語訳

【右丁】 はにし 【左丁】 梓(し) あつさ《本草・和名》 ひさき《和名抄》 きもみし きささけ   雷電(らいてん)きり はふてこぶら かわらかし《筑後》   かみなりささけ《越後》 かわらささけ《濃州》 かわらきり《常州》   ごしんかう《肥前》 たらすけのき《讃州》 榟《説文》 梓と楸(きゅう)については異なる説がある。集解に陸機詩疏を引用して「楸の木理が白色で実をつけるものを梓という」と言い、また時珍の説では「木理の白いものを梓、赤いものを楸という」と述べている。これらの説を考えると、梓はきささげ、楸はあかめがしわであることが明らかである。人家で多く栽培される。 樹高は一丈余りに達する。樹皮は白色で、これが梓白皮として薬用にされる。葉は白桐の葉に似て三尖または五尖があり、海州常山に似ている。夏に枝の梢に穂状に白色で淡紫色の細かい斑点がある花を開く。形は鳳仙花に似ている。後に細い角果を結び、形は隠元豆の莢に似て痩せて硬く下垂し、破れると中に種子がある。