翻刻
【右丁】
此人
数
舟
なれは
こそ
涼
かな
其角
【図】
【枠内】茶や
【枠内】柳はし
【枠内】かるわさ
【枠内】みせもの
【左丁】
より東(ひかし)に薬研堀(やけんほり)と云所(いふところ)あり其辺(そのあたり)知人(しるひと)の許(もと)に行(ゆき)て楼上(ろうしやう)より
遠近(をちこち)を見(み)やりて
見おろせは気(き)の薬(くすり)なり薬研堀(やけんほり)月(つき)は白湯(さゆ)にてかけは水(みつ)にて
又ある時(とき)漁夫(きよふ)の辞(ことは)の意(ゐ)をよめる
世(よ)はすめり我(われ)ひとりのみ濁酒(にこりさけ)酔(ゑふ)て寝(ねる)にてさふらふの水
享保(きやうほ)十三年戊申正月三日/朝起(あさおき)て
公事(くし)喧嘩(けんか)地震(ちしん)雷(かみなり)火事(くわし)晦日(みそか)飢饉(きゝん)煩(わつらひ)なき国(くに)へゆく
かくよみて同し五日の暮方(くれかた)剃頭(さかやき)湯(ゆ)あみし太神宮(たいしんくう)を拝(はい)し奉り
しまゝに終(をはり)をとれり《割書:行年(きやうねん)七十二/歳(さい)今(いま)も浅草(あさくさ)金竜寺(きんりうし)に墓碑(ほひ)あり石(いし)を以(もつ)て|瓢(ひさこ)の形(かたち)に造立(さうりふ)す如幻庵(しよけんあん)東湖老和尚(とうこらうおしやう)此(この)如水(しよすゐ)か臨終(りんしゆう)の》
《割書:記(き)をかゝれたりといへり按(あんする)に墓碑(ほひ)に一陽如睡(いちやうしよすゐ)とあり水睡同音(すゐすゐとうおん)なれは其(その)臨終(りんしゆう)の|相(さう)を表(ひやう)して没後(もつこ)文字(もんし)を如睡(しよすゐ)と改(あらた)めしならん歟》
杉森稲荷社(すきのもりいなりのやしろ) 新材木町(しんさいもくちやう)にあり《割書:俗(そく)に當社(たうしや)ある故(ゆゑ)に此所(このところ)|をいなり新道(しんみち)と字(あさな)す》社記云(しやきにいふ)此(この)神像(しんさう)は
相馬(さうま)の将門(まさかと)威(ゐ)を東国(とうこく)に逞(たくま)しうせし頃(ころ)藤原秀郷(ふちはらひてさと)朝敵誅伐(てうてきちゆうはつ)
の計策(けいさく)を廻(めく)らし此(この)御神(おんかみ)の加護(かこ)に依(よつ)て遂(つゐ)に将門(まさかと)を亡(ほろほ)したり