翻刻
【右丁】
[小苑草(せうえんさう)]宿根(ふるね)より春(はる)生(しやうず)葉(は)はしをんより短(みじか)くよこへ少(すこ)しひろく
初生(しよせい)地(ち)に数茎(すけう)出(いで)て五六 尺迄(しやくまで)にのび立(たち)花しをんのごとくにて白し又
小(こ)しをんと云草あり花 極(きは)めて小(こ)りんにして白し草立(くさだち)葉ともしをん
のごとくにて小草(こくさ)也二尺ばかりのび立(たつ)花なり七八月はなさく
【縦罫線】
[桔梗(きけう)]
花 数(かず)多(をゝ)しるりの一重るり八重白一重白八重紅ひとへ紅八重
南京(なんきん)さらさは白にるりのしぼり入大りん南京さらさ咲(ざき)と
いふはつねの花よりひらたく咲 扇桔梗(あふぎぎゝやう)といふはさらさ咲より葩(はなびら)たくましく
咲也又 咲分(さきわけ)有黄の桔梗有せんだい桔梗 車(くるま)桔梗有六七月花有和名ありのひふき
【縦罫線】
[下野(しもつけ)
線繍菊(せんしうぎく)]
花のかたちさくら川草のごとく本紅色葉もみぢに似て
茎(くき)ほそし白花有うすいろあり白花の方は葉あつくき
れあさし草下つけといふあり日光(につくはう)しもつけともいふはな葉共
に紅の方にをなしくさたちのひず小草(こくさ)なり鳳凰草(ほうわうさう)と
いふもはな葉ともに同じはのきれこみしもつけの葉
よりは丸し三種ともに同じものなり五六月はなあり
【縦罫線】
[芙蓉花(ふようくは)]葉は桐(きり)に似たれとものこぎり有て葉うすし葉両方へ
【左丁】
[《割書:一名は木蓮(もくれん)|芙蓉の名二つ》
《割書:有水に生(しやうず)るを|草芙蓉といふ》
《割書:荷花(はす)也 陸(くが)に|生るを木芙蓉》
《割書:といふ》]
一 對(つい)付(つく)大さくさぎのごとく又花はむくげに似たれども大
く一重あり八重有千重有色大白有大紅有 薄紅(うすべに)あり
しの立(たち)高(たか)さ一丈斗有もあり又一尺斗有も花咲一尺斗有とき
は草立(くさだち)一 丈斗(じやうばかり)有は木立(こだち)に成也 古枝(ふるえだ)よりわかばへ出て牡丹に同し
【縦罫線】
芙蓉(ふよう)八九月 ̄の内(うち)開(ひらく)有(あり)_二拒霜之名(きよさうのな)_一 一名(いちめいは)木蓮(もくれん)一名 ̄は木(もく)
芙渠(ふきよ)楚詞(そしに)搴(かゝぐ)_二夫容(ふようを)於 木末(もくばつに)_一有(あり)_二大紅(たいこう)粉紅(ふんこう)白(はく) ̄の三色(さんしき)_一又(また)
有(あり)_二酔芙蓉(すいふよう)_一 一日之内(いちにちのうち)花容(はなのかたち)三変(みたびへんず)由(より)_レ白(はく)而(して)淡紅(たんこう)桃紅(とうこう)
丸子(まろきみあり)芙蓉 一枝(いつし)土(つちより)開(ひらく)花(はな)幾色(いくいろぞ)一本上(いつほんのうへに)有(あり)_二 九色(くしき)_一魏文(ぎのぶん)
帝(てい)有(あり)_二芙蓉園(ふようえん)_一括異志(てんゐし)有(あり)_二芙蓉館主(ふようくわんしゆ)芙蓉 城(じやう)_一
【縦罫線】
[紫藤(やまふぢ)]花の形(かたち)豆(まめ)の花に似(に)たり色紫そとびらの色うすし内びら
いろこいむらさき也葉はぬるでに似たり一じくに葉十一二三まい
斗有花 茎(くき)に連(つら)なりさがる咲(さき)じくの長さ三尺 余(よ)有是は野田藤(のだふぢ)
又山藤は茎みじかく花も少し赤し白藤は花大くして茎短し
しの立 蔓(つる)にして木にまとふ白藤は花早し紫ははな遅(をそ)し三月咲なり
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【三十八行六~八字目「括異志」の読みは「かついし」ヵ。「括」のルビ「てん」は「栝」の読みヵ。】