翻刻
【右丁】
[銭葵(せにあふひ)
小葵(こあふひ)
菟葵(ときひ)【ひ衍ヵ】]
葉 形(かたち)戎葵(からあふひ)に似たり然(しかれ)共丸し花 大(をゝき)さ銭(ぜに)のごとく桜草(さくらさう)の花
に似(に)たりいろ白有うす紫有うす紅有高さ三四尺ばかり
但(たゞし)花ははのあい〳〵より出(いで)葉見事なるもの也四五月あり
【縦罫線】
[びやう柳
金糸桃]
花黄色にして桃(もゝ)のごとくしべ黄(き)にして糸(いと)のごとし葉長じ
て柳(やなぎ)のごとし又木 細(ほそ)ふして糸(いと)のごとし葉は両方 ̄に封(ほう)すたてに延(のび)ず地(ち)にはふ
【縦罫線】
金糸桃(きんしたう)花(はな)如(ことし)_レ桃(もゝの)而 心(しんに)有(あり)_二黄鬚(きなるひげ)_一《振り仮名:鋪_二-散|ふさんす》花外(くはぐはいに)_一若(ことく)_二
金糸(きんしの)_一然(しかり)亦(また)似(にたり)_二根下(ねのしたより)劈開(つんさきひらくに)_一分(わかつて)_レ種(たねを)三四月 花(はな)開(ひらく)
【縦罫線】
[くはん草]花いろ紅うこんかたちゆりの花のごとし葉すけに似て大(ふと)し花三月
【縦罫線】
[紫陽花(あぢさい)]
しの立をでまりに似て高(たかさ)五六尺葉 両々(りやう〳〵)対(たい)して似(に)たり又
かたちは桜(さくら)に似(に)てこまかなるきざみ有花あつまり咲(さく)牡丹一
りんの大さをでまりのごとし又大小有 葩(はなびら)四 枚(まい)にして大(だい)は色白中はあさぎ
小(せう)は紫にして青(せい)也又色白有うす紅有黄あり四五月はなひらく
【縦罫線】
[山(やま)
紫(むらさき)]
小しきぶの木に似て枝しだれて花は少(すこ)しきなり五つはなびら
四五月咲秋 実(み)有色 藤紫(ふぢむらさき)ふさのことく葉 皆(みな)よめなのごとく相むかひつく
【縦罫線】
[あき葵]一名かうぞ又とろゝ草ともいふ花のかたち五月葵に同し
【左丁】
葉のかたちとりかぶとあるひはあさのはのごとくほそ長し葉に
大小有大は一尺 余(よ)又 茎(くき)長くはこはくとがり又のこぎり有もあり
なきも有 但(たゞ)し形(かたち)すざましきもの也花黄白くしてそこに
こき紫のきほひ有中のしんふように同じ花にふくろ包その
外に五の台(うてな)からむ秋の葵(あふひ)といへども夏(なつ)の土用(どよう)より七八月まで
さく高六七尺ばかり○葵の種類(しゆるい)多(をゝ)し花黄なるを蜀葵(しよくき)と云花
の小なるを銭葵或はから葵と云花赤きを紅葵と云り○傾(かたぶく)_レ日(ひに)。《割書:説(せつ)|文(ぶん)》
《割書:黄葵つねに葉をかたふげて日に向て|其根をてらさず○日向葵を云か》○衛(もる)_レ足(あしを)。左伝(さでん) ̄ニ《振り仮名:葵-猶-能|あふひなをよく》衛(もる)_二其足(そのもとを)_一と云り
【縦罫線】
秋葵(しうき)一名(いちめいは)黄蜀(かうそ)葵 説文(せつぶん)黄葵(わうき)常(つねに)傾(かたふけ)_レ葉(はを)向(むかふて)_レ日(ひに)不(ず)_レ令(しめ)_レ照(てらさ)其根(そのねを)虞(ぐ)
絮韓渥(じよかんあく)各(をの〳〵)有(あり)_レ賦(ふ)花(はな)《振り仮名:将_レ落|まさにをちんとするとき》《振り仮名:以_レ筯|はしをもつて》取(とり)浸(ひたし)_二菜油内(さいゆうのうちに)_一治(ぢするに)_二湯火瘡(たうくはさうを)【左ルビ:やけど】_一甚妙(はなはだめう)《割書:也》
【縦罫線】
集解【注①】
○禹鍚曰(うしやくかいはく)【鍚は錫ヵ】黄蜀葵(くわうしよくき)近道(きんたう)処処(しよ〳〵)有(あり)_レ之(これ)春(はる)生(しやうす)_レ苗(なへを)葉(は)頗(すこふる)
似(にて)_二蜀葵(しよくきに)_一而 葉(は)《割書:■》【注②】尖小(せんしやう)多(をゝし)_二刻欠(こくけつ)_一夏末(なつのすへ)開(ひらく)_レ花(はなを)浅黄色(せんくわうしき)六
七月 採(とりて)《振り仮名:陰_二乾|かげぼしにす》【注③】之(これを)_一○宗奭曰(そうせきがいはく)黄蜀葵(くわうしよくき)与(と)_二蜀葵(しよくき)_一別種(べつしゆ)非(あらず)_二是(これ)
蜀葵中(しよくきのうち)黄者(きなるものに)_一也 葉心下(ようしんしたに)有(あり)_二紫檀色(したんしよく)_一摘下(とりくたし)剔散(てきさんして)《振り仮名:日_二乾|ほす》【注③】之(これを)_一
【注① 「集解」は四角囲み文字。この下に次の二行(四十六~四十七行目)が書かれている。】
【注② ■は横線。送り仮名の「ニ」ヵ。「Digitalisierte Sammlungen der Staatsbibliothek zu Berlin Werkansicht」の「絵本野山草」にも同様のもの有。】
【注③ 「乾」の前に「-」脱ヵ】
【[ ]内の文字は枠で囲まれている。続きの文章はその枠の下から始まる。ただし、二十~二十一行目は十九行目の下に書かれている。】
【四十行目「葵猶能」の「-」は左側に書かれている】