翻刻
【右丁】
[丈菊(じやうきく)]日向葵(ひうがあをひ)といふは長(たけ)七八尺花の大さ七八寸色黄にして春(しゆん)
菊(きく)に似たりかたち岩畳(がんでう)に見えて柔(やはらか)なり此はな朝(あした)は東(ひがし)に
向(むか)ひ日中(につちう)には南(みなみ)に廻(まは)り夕陽(せきやう)の比(ころ)は西(にし)にむかひ大陽(たいやう)を追(を)ふ
よつて日車とも名つく合歓木(ねふりのき)は夕(ゆふべ)に葉をたゝみ朝に開(ひら)く其外
【縦罫線】
日車草(ひぐるまさう)
【左丁】
朝に開き夕に葩(はなひら)を抱(かゝゆる)花 多(をゝ)し丈菊ひとり大陽にむかひ廻(まは)る
東坡(とうば)の詩(し)に李陵(りれう)衛律(ゑいりつ)陰山(いんざんに)死(しす)。不(ず)_レ似(に)_三葵花(きくはの)識(しるに)_二大陽(たいやうを)_一と云にひとし七八月花
【縦罫線】
[あらせいとう《割書:三月》
紫羅蘭花(しららんくは) 《割書:はな|さく》]
葉のかたち柳葉(やなぎは)にしてひろくはのうへ
に粉(こ)ふく茎(くき)ふとくふしたかしはな
びら四弁(しまい)いろ紅(べに)むらさきにつやありそこ白し葉のうへ
にすゞなりにさくあとに皁角(さや)有かたち豇豆(さゝげ)のごとし
さゝげのはやなりにこれをかへもちゆるなり
【縦罫線】
[七りん草
九輪草(くりんさう)
旌節花(せいせつくは)
《割書:三月花| さく》]
花のかたちさくら草のごとくにて葩(はなびら)あつくしの立(たち)
まはりさくしのふとく立(たち)のびだん〳〵に咲(さく)色 数(かず)あり
白紅あるひはゆきしろげんじ又うすいろ咲分(さきわけ)有 地(ぢ)紅
にしてはなびらふる白きを源氏(げんじ)九りん草といふ
【縦罫線】
[羅生門(らしやうもん)《割書:はな| 三月》]はなるり色とりかぶとのはなのごとし葉おどり
草のはにしてすこしながくうすし茎蔓(くきつる)生(しやう)ずくきを
ふせふしより根(ね)ををろしはびこる
【[ ]内の文字は枠で囲まれている。続きの文章はその枠の下から始まる。】