翻刻
【右丁】
[鶏冠花(けいくはんくは)]
三月 苗(なへ)生立(しやうしたつ)高(たか)さ五六尺葉 青(あをく)柔(やはらか)なり又高一寸あまり有
もはなさく花に大小有大は一尺 余(よ)色三いろ又五品也はな
赤(あか)きは毛氈(もうせん)のことく黄色はうこんの染色(そめいろ)のごとく花形(くはきやう)丸(まるく)長(なが)み有を
からけいとうといふ白赤(い[し]ろあか)さきわけ色〳〵とび入(いり)色々(いろ〳〵)しますし色
〳〵有又 小(ちいさ)き丸(まる)有五つ開(ひらい)て小(ちいさ)きたねをむすぶ又やりけいとうは
たまぼこなりにしてみな種(たね)也 是(これ)三色(みいろ)あり三月より十月まで
有又 野(の)けいとうは白うすむらさき有 野原(のはら)に多(をゝ)くあり
【縦罫線】
《振り仮名:鶏-冠|けいくはん》有(あり)_二《振り仮名:紅-白二-色|こうはくのにしき》_一又(また)有(あり)_下 一枝上(いつしうへに)《振り仮名:秀_二【-】出|しうしゆつする》五色(ごしきを)_一者(もの)_上甚佳(はなはだかなり)
又(また)《振り仮名:木-紅|ぼくこう》者(は)一-名 ̄は《振り仮名:寿-星鶏-冠|じゆせいけいくはん》即(すなはち)《振り仮名:矮-脚鶏-冠|わいきやくけいくはん》亦(また)有(あり)_二紅-白
二-色_一或云(あるひはいはく)即(すなはち)玉樹後庭花(ぎよくじゆごていくは)也(なりと)其葉(そのは)甚肥(はなはだこへて)可(べし)_レ入(いる)_レ饌(せんに)
【縦罫線】
[玫瑰花(はいくはいくは)《割書:三月四月|花ひらく》]荊(いばら)せうびのるいなり葉は青出(あをで)花は紅紫色ひとへ大
りんにして芍薬(しやくやく)のごとく実(み)は丸く少(ちい)さくとがりりんごのごとくう
こん色にして後(のち)じゆくして朱紅(しゆべに)色又はなよりまさりて詠(なかめ)有
○時珍(じちん)が曰(いはく)高(たか)さ二三尺 枝(えた)多(をゝ)く針(はり)あり葉せうびに似(に)てへり
【左丁】
にのこぎりあり四月にはなひらく大なるは鉢(はち)のごとくす
こしきなるはさかづきのごとく妙香(めうかう)らんじやのごとしといへり
【縦罫線】
玫瑰花(はいくはいくは)甚(はなはだ)香喜(にほひよく)壮(さかんじて)宜(よろしく)【左ルビ:べし】_二不時(ふじに)分(わかつて)_レ種(たねを)方(まさに)盛(さかんなる)_一年(とし)久則(ひさしきときは)
槁花(かるはな)作(つくり)_レ糕(もちに)佳(かなり)又(また)有(あり)_二黄花者(くはうくはのもの)_一亦(また)佳(かなり)伹(たヾし)【但】不(ざる)_レ香(かうばしから)耳(のみ)
【縦罫線】
[花しやうぶ
漢名 泥菖(でいしやう)]
花四五六月迄ぬまあやめともいふ葉(は)にすじ入有すじしやうぶと云
花に色数おびたゝし柿(かき)五 葉(よう)有又紅むらさき色花びらあつく
うけかゝへ咲大々りんさつまうけさきといふ花形いろともに同しくしてはな
すこしちいさき有 桔梗(きけう)さらさといふは地桔梗に白ふとく班(ふ)【斑ヵ】入 受(うけ)かゝへさき
たてなりのり合といふは地白にうす桔梗うすくいるいつくしまといふは紅紫の
しほり也 染絹(そめきぬ)といふは地白にうす紫の粟紋(なゝこ)花びらの中に入花びらあつし網の
手といふは地白にうす紅のすじほそくあみのことくに入千重の白といふは常のよりは
花びら多し其外白紅藤しほりるり色数百 種(しゆ)有こと〴〵く書(かき)つくされず其大がい也
【縦罫線】
[せいらん草]はなのかたちらしやう門のごとくいろうすきるりなり
葉はみそはぎのはによく似たり葉に斑入(ふいり)あり五月はなあり
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【三行五字目「立(たつ)」は「BnF. Département des manuscrits. Japonais 302」コマ63(Gallicaの日本資料を翻刻!> コレクション1)では「夏(なつ)」】
【五行下から五字目「丸」のルビ「まるく」は右注と同じ文書では「まろく」】