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皆一心に如来の御名を唱けれハ不思議なる哉さしもの大火
に本堂へ移るぞして篭りし人々ハ恙なく夜もほの〳〵と明に
けるこれそ仏の御利益ならんと感しけるされとも地震ハ
強くして町ハ竹井小路ごんどう丁田丁がんせき丁横沢丁
西丁たか丁桜小路畑中丁西横丁下西川西丁はたこや丁
残らすゆり倒し火ハます〳〵熾ゆなり人々逃場を失ひ
男女の泣叫ふ形勢殊に八方地獄のことくにて目もあてられぬ
次第也爰に不思議のこと成ハ宿屋平左衛門所に泊りし客六百
十八人有此内三百九十八人ハ本堂にて助り又本堂へ篭りに行
としたくをなし店先迄立出たる処四十九人これハ大坂の者
又七十四人ハ江戸本町大伝馬町中 まき丁の人々也此人々ハ
地震に驚きて逃先も不勝手なれハ本堂を目当にかけ付
し故五百廿壱人ハ恙なし此外男女の損せしこといくはく
といふ数を知らす江戸品川宿の者九人死す扨又信州北の
方ハ吉田宿いなつの村山口東条あら丁宿徳間村新光寺神山中
宿高さこむれ宿小ふるま大ふるま黒ひめ山南の方ハ石むろむら
問御所中御所あら木村わだぐさま松岡しん田上高田権とう町
柏原此辺迄大地さけて人馬牛多く損し夫ゟ髙井郡東の方
小伏宿より須坂城下近辺まで大地裂け土中ゟ水を吹出し人々にけさまよふて人多く死す又更科郡松代城下近辺七十余ヶ村
又追分軽井沢沓掛上州口まで山々震動し又諏訪郡高嶋城
下辺西の方百四十ヶ村又佐久郡あず郡北の方百三十余村家蔵